「定住者ビザ」とはどんなビザか?詳しく解説します。

「活動資格」ビザと「居住資格」ビザ

在留ビザは大きく分けて2種類に分けることができます。「活動資格」ビザと「居住資格」ビザです。

活動資格ビザは日本で「活動」に従って与えられるビザです。「活動」とは、多くの場合仕事のことです。いわゆる就労ビザはここに入ります。それ以外では、「留学」ビザや「家族滞在」ビザなどです。活動資格ビザでは、収入を得る手段が決められた「活動」=仕事に限定されたり、そもそも仕事に就くことを原則禁止されたりします。

居住資格ビザは、その「身分」に与えられるビザです。日本人の配偶者や子供がその典型です。永住者もここに入ります。永住者の配偶者や子供もそうです。

居住資格ビザをもつ場合、仕事は原則自由に選ぶことができます。就労ビザの様に制限はないのです。

日本での生活を希望する外国の方々にとって、在留期限にも、仕事・活動にも制約がない「永住者」ビザが最も有利なビザと言えますが、それ以外の居住資格ビザも仕事を自由に選択できることから有利なビザに違いはありません。

「居住資格」ビザにはどんな種類があるのか?

居住資格ビザで最もポピュラーなものは、「永住者」ビザです。人数も最も多くなっています。

平成30年6月の統計で、居住資格ビザをもって在留する人は、約112万人でしたが、その内、約76万人が「永住者」ビザの方でした。

ちなみに活動資格ビザをもつ人は約119万人でした。うち最大は「留学」ビザで、約32万人、次いで「技能実習」6種を合わせた約29万人でした。専門的職業、熟練技能を要するビザをもつ人が少ないことは、「それらの一定数が「永住者」ビザの取得を指向しているから」なのかもしれません。

居住資格ビザに話を戻します。「永住者」意外には、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の3種類のビザがあります。

実は、「永住者」以外の3種類のビザのうちでは、「定住者」ビザをもつ人が一番多いのです。平成30年6月の統計では、約19万人で、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」をもつ人を合わせた数より多くなっています。

「定住者」ビザとはどんなビザなのか?

「定住者告示」とは?

入管法は、「定住者」ビザを取得できる「身分・地位」として、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と規定しています。法務省に委任している訳です。

法務省は、告示で定めています。告示とは官庁で定めた規則を公表したものです。特にこの「定住者」を定める告示を「定住者告示」と呼んでいます。

対象は、「難民や戦時在留日本人」「日系人」「被扶養未成年」の3通りです。その規定内容は難しいのですが、要約すると次の通りです。

1.難民やいわゆる「戦時海外残留日本人」で、次の様な方が該当します。

  • タイに一時庇護されるミャンマー難民で、日本社会への適応能力があり、生活を営むことができる職業に就くことが見込まれる方です。配偶者と子も含みます。ビザを得た後に入国した場合は親族も該当する場合があります。
  • マレーシアに一時滞在するミャンマー難民でミャンマー難民で、国際連合難民高等弁務官事務所が保護の必要な者として、日本にその保護を推薦する方です。日本社会への適応能力があり、生活を営むことができる職業に就くことが見込まれる必要が同じ様に必要で、配偶者と子も含みます。
  • いわゆる中国残留日本人や樺太残留日本人でかつて日本国籍があった方、それらを両親として中国で出生した方です。その家族を含む場合もあります。

2.移民されたいわゆる日系人の子や孫、その配偶者などで、具体的には次の様な方が該当します。

  • 日系2世で素行善良な者・・・元日本人(移民後)の実子、移民前だと「日本人の配偶者等」に該当するので対象ではありません。
  • 日系3世で素行善良な者・・・日本人の孫(養子でも可)、または元日本人(祖父母または父母が移民した後)の実子の実子の何れかです。
  • 「日本人の配偶者等」ビザをもつ日本人の子の配偶者
  • 日系2世・日系3世であること以外の理由で、1年以上の在留期間の「定住者」ビザをもつ者の配偶者
  • 日系2世・日系3世であることを理由として、1年以上の在留期間の「定住者」ビザをもつ者の配偶者で、素行善良な者

3.日本人や居住資格ビザの在留者の扶養する未成年の子です。具体的には次の様な方が該当します。

  • 日本人、「永住者」ビザをもつ者または特別永住者の扶養する未成年・未婚の実子
  • 日系2世、日系3世またはそれらの配偶者であること以外の理由で、1年以上の在留期間「定住者」ビザをもつ者の扶養する未成年・未婚の実子
  • 日系2世、日系3世またはそれらの配偶者であることを理由として、1年以上の在留期間「定住者」ビザをもつ者の扶養する未成年・未婚の実子で、素行善良な者
  • 日本人、「永住者」ビザをもつ者、特別永住者または1年以上の在留期間の「定住者」ビザをもつ者の配偶者で、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」のビザをもつ者の扶養する未成年・未婚の実子
  • 日本人、「永住者」ビザをもつ者、特別永住者、1年以上の在留期間に「定住者」ビザをもつ者の扶養する6歳未満の養子

上の要件のうち、日系2世、日系3世、またはその配偶者や実子などについては、「素行善良なこと」の要件が付加されています。「永住許可」の許可基準にもみられるものですが、「素行善良」の要件は、「永住者」ビザとは微妙に異なる様なので、以下に記します。次の何れにも該当しないこととされます。

  • 日本国、または以外の国の法令に反して、懲役、禁固または罰金の刑に処せられたことがあること(永住許可と異なり道路交通法違反の罰金刑は除外されています。)、但し、罰金以外の刑の執行または免除後10年経過した場合、罰金刑の執行または免除後5年を経過した場合、執行猶予を受けて猶予期間を終了した場合は含まないこととされます。
  • 少年法の保護処分継続中であること
  • 日常・社会生活において、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返すなど、素行善良と認められない特段の事情があること
  • 他人に入管法の定める証明書交付または許可を受けさせる目的で、不正行為をおこなったこと、或いは不法就労の斡旋をしたこと

「告示外定住」とは?「離婚定住」とは?

実務上は、「定住者告示」の定める要件以外のケースにおいても、「定住者」ビザが許可されるがあります。これらを「告示外定住」と呼んでいます。具体的には以下の場合に「定住者」ビザが許可されています。

ここで重要なポイントは、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」ビザで日本に暮らす外国の方が離婚した場合も「定住者」ビザを取得して日本での生活を暮らすことができる場合があることです。

但し、いかなる場合に「告示外定住」としてビザが認められるのか、そのための基準については、必ずしもオープンとはされていないので、審査は少し「ブラックボックス」的な面があります。

1.法務大臣が難民と認定した者

2.日本人、永住者または特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本在留を希望する者(「離婚定住」と呼ばれています。)

許可には、およそ最低限以下の要件が必要と考えられます。

  • 正常な婚姻関係・家庭生活を営んでいたと認められること
  • 生計を営みうる資産または技能(収入と理解して下さい。)があること
  • 日常生活に不自由しない程度の日本語能力があること
  • 公的義務を履行しており、今後も履行が見込めること

3.日本人、永住者または特別永住者である配偶者と死別後、引き続き日本在留を希望する者(「死別定住」)

予想される許可の要件は2と同様です。

4.日本人、永住者または特別永住者との婚姻が事実上は破綻し、引き続き在留を希望する者(「破綻定住」)

予想される許可の要件は、やはり2と同様です。

5.日本人の実子を監護・養育する者

「日本人の実子」とは、出生時に父または母が日本国籍を有していた者で日本国籍の有無、嫡出・非嫡出を問いませんが、日本国籍を有しない非嫡出子については、日本人の父から認知されていることが必要です。

許可には、およそ最低限以下の要件が必要とされます。

  • 生計を営みうる資産または技能(収入)があること
  • 日本人との間に生まれた子を相当期間監護・養育しており、実子の親権者であること

これらの他にも実務上は、「告示外定住」が認められることがありますので、個別にご相談下さい。

    「定住者」ビザの在留期間は?

    「定住者告示」については、5年、3年、1年または6ヶ月とされており、「告示外定住」は、個々に指定するとされています。

    実務上はおよそ以下の様な取扱いがなされています。

    まずは、「定住者告示」による場合です。

    • 「難民」とその家族・・・原則5年とされます。
    • いわゆる「中国残留日本人」や「樺太残留日本人」とその家族・・・本人または扶養者が入管法上の届出義務・その他公的義務を履行していること、生計維持者が納税義務を履行していること、義務教育期間の子がある場合(もしくは子自身が)小・中学校に通学していること、配偶者として在留する場合、婚姻生活の継続が見込めることなどの要件をクリアすれば、5年、そうでない場合は、3年、1年、6ヶ月とされます。特に、配偶者として在留する場合で離婚訴訟・調停中であったり、相手が離婚意思を明確にしていれば6ヶ月となります。
    • 「日系人の子・孫・配偶者など」「日本人・居住資格ビザ在留者の扶養する未成年の子」・・・本人または扶養者が入管法上の届出義務・その他公的義務を履行していること、生計維持者が納税義務を履行していること、義務教育期間の子がある場合(もしくは子自身が)、小・中学校に通学していること、未成年でなければ一定以上の日本語の能力があること、配偶者として在留する場合、婚姻生活の継続が見込めることなどの要件をクリアすれば、5年、そうでない場合は、3年、1年、6ヶ月とされます。特に、配偶者として在留する場合で離婚訴訟・調停中であったり、相手が離婚意思を明確にしていれば6ヶ月となります。

    「告示外定住」ではおよそ次の通りとされています。

    • 「認定難民」・・・原則5年とされます。
    • 「離婚定住」「死別定住」「破綻定住」及び「実子である日本人の監護・養育者」・・・入管法上の届出義務・その他の公的義務を履行していること、生計維持者が納税義務を履行していること、義務教育期間の子がある場合小・中学校に通学していること、在留資格変更後5年以上、在留状況・生計能力に問題なく経過していることなどの要件をクリアすれば5年、そうでない場合は、3年、1年、6ヶ月とされます。

    「定住者」ビザのまとめ

    「定住者」ビザは、難民、戦時在留日本人や日系人とその家族など国家的な使命・目的から在留を認めるものから、日本人などの未成年の子、日本人の監護・養育者などの弱者保護のためのもの、更には「離婚定住」の様な日本社会と緊密な関係に入った者の現状生活保護など幅広く認められるものです。

    どういったケースにおいて「定住者」ビザを得られるのか、「定住者」ビザの許可基準は何なのか、など必ずしも全て明確でない点もあります。個別に当事務所にご相談下さい。ご相談は無料です。

    We can apply to any immigration office throughout Japan via online visa application!

    Apply for Permanent Residence
    Change or Extension of Your Visa
    Obtaining of a Certificate of Eligibility

    Mobile: 090-6188-1648
    Email: nihonbashiprime@gmail.com

    You can contact us via WhatsApp or Telegram
    @ +81 90 6188 1648