在留外国人が一時出国・海外旅行をするためには?

在留外国人は出国すると在留資格・ビザを失うのか?

在留許可・いわゆるビザは、入国審査官が上陸を許可する場合に、合わせて在留期間と合わせて決定されるものと出入国管理及び難民認定法いわゆる入管法は定めています。

入管法は必ずしも明示していませんが、上陸すなわち入国時に許可された在留資格は、特段の手続を経ることなく出国すれば、その時点で失効すると考えて良いでしょう。

なぜなら、入管法は、在留外国人の申請に基づき、出入国在留管理庁長官は「再入国許可」を行うことができると規定しており、その再入国許可の効果として、上陸許可の時に在留資格・在留期間を決定する必要がないと定めているからです。

裏返せば、在留外国人は、再入国許可を得ずに出国した場合、原則として在留資格は失効することになる訳です。再び日本に入国して、日本で生活するためのは新たに在留資格を許可される必要がある訳です。

在留資格・ビザを失わないで、出国するには?

「再入国許可」

入管法が規定する第1の方法は、「再入国許可」を得て、出国する場合です。

在留外国人が在留期間の満了前に帰国する意図を持っている出国する場合は、出入国在留管理庁長官に申請することにより、再入国許可を得ることができるとされています。

許可される場合は、5年以内の期間が決定されることとなっています。なお、期間内に再入国できない相当の理由がある場合には、日本国領事官などが期間延長の許可することが出来るとされています。

「みなし再入国許可」

もう一つの方法は、「みなし再入国許可」と呼ばれるものです。

在留外国人のうち、旅券を所持していること、さらに中長期在留者に該当する在留外国人については、在留カードを所持していることを条件として、入国審査官に対して、所定の手続に従い、再入国する意思を表明して出国すれば、1年以内(在留期間が1年以内で満了する場合は、在留期間の満了まで)に再入国については、再入国許可を得た場合と同様に扱われることととされています。

なお、中長期在留者とは、3ヶ月以下の在留期間を決定されていたり、短期滞在・外交・公用以外の在留資格・ビザを許可された者以外の在留外国人で、在留カードを交付される対象とされています。

出国時の手続に関する注意点

「再入国許可」の手続

再入国許可を得て出国しようとする場合、事前に在留外国人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局に出頭して所定の申請書を用いて、更に旅券や在留カードなどを提示して申請を行う必要があります。(届出済の行政書士などに取次を依頼すれば、申請代行してもらうことも可能です。)

審査結果は、原則当日中に受け取ることができます。

許可された場合は、旅券を所持しる在留外国人には、旅券に証印が押されることとなっています。旅券を所持していない(国籍を有していないなどの場合で、旅券を取得できない理由があれば旅券がなくとも許可されることがあります。)在留外国人には、再入国許可書が交付されます。

そして、空港などでの出国手続に際しては、「外国人用(再入国)」と記載された「再入国出入国記録」EDカードの「再入国出国記録 EMBARKATION CARD FOR REENTRANT ①」に、氏名・生年月日などの所定事項を記入の上、出国予定期間にレ点、「1.一時的な出国であり、再入国する予定です。」にもレ点を付して提出する必要があります。

「みなし再入国許可」の手続

「再入国許可」の様に、事前に申請手続を行う必要はありません。

空港などでの出国手続に際しての手続は、「再入国許可」を得て出国する場合と同様です。

「外国人用(再入国)」と記載された「再入国出入国記録」EDカードの「再入国出国記録 EMBARKATION CARD FOR REENTRANT ①」に、氏名・生年月日などの所定事項を記入の上、出国予定期間にレ点、「1.一時的な出国であり、再入国する予定です。」にもレ点を付して提出する必要があります。

まとめ

従来、在留外国人が再入国を希望して、出国する場合、「再入国許可」を事前に取得することが原則として必要でした。

「みなし再入国許可」は、平成24年(2012年)から始まる新しい制度なのですが、現在では、観光旅行や里帰り、短期出張などのための出国については、ほとんどの場合、より簡便なこの制度を利用することが多いと考えます。

ただし、長期の出国の場合には、帰国時期が未定であったり、コロナ・ウィルスの影響による移動制限の様な事態に備えて、再入国許可を得て出国することも検討する方が良いでしょう。

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