入管法の定める義務・届出及び罰則

在留資格・ビザの許可を受けて、日本で生活する在留外国人が日本の法律・規則を遵守すべきことは当然ですが、それ以外にも、遵守すべき法律・規則があります。

出入国管理及び難民認定法、いわゆる日本の入管法は、在留資格、いわゆるビザの許可を受けた在留外国人やその勤務先などの「所属機関」について、種々の届出を中心とした義務を履行すべきことを規定しています。

在留外国人の義務

入管法は在留外国人に対しておよそ以下の通りの義務を定めています。

1.住居地届出義務

在留外国人のうち中長期在留者*は、新規上陸後、住居地を定めた日から14日以内に、住居地を変更した場合も移転の日から14日以内に、出入国在留管理庁長官に住居地を届け出る義務があるとされます。実務上は、市区町村に転入を届け出た際、合わせて手続を行うこととなります。

*中長期在留者とは、在留期間3か月以下の者、「短期滞在」「外交」「公用」ビザを許可された者、特別永住者などを除いた在留外国人とされます。

2.在留カード記載事項の変更届出義務(住居地以外)

住居地以外の在留カード記載事項に変更が生じた場合、変更が生じた日から14日以内に、出入国在留管理庁長官に届け出る義務があります。

3.在留カード更新申請義務

在留カードを交付された中長期在留者について、在留カードの有効期限が在留期間の満了日と同一でない場合、在留カードの有効期限の2か月前(16歳未満の場合、16歳の誕生日の6か月前)から有効期限までに、在留カードの更新を出入国在留管理庁長官に申請する義務があるとされます。

永住者や16歳未満の中長期在留者で、在留期間の満了日が16歳の誕生日後に来る場合です。

実務上は、在留カードの有効期限を超えて日本に在留する場合に義務違反となる訳ですから、もし在留カード期限前に帰国される場合には、帰国時点で中長期在留者ではなくなるので、在留カードの更新は不要と考えてよいでしょう。

4.在留カード紛失等による再交付申請義務

在留カードを交付された中長期在留者が在留カードを紛失・盗難・滅失などによりその所持を失った場合、所持を失ったことを知った日、海外で所持を失った場合は帰国した日から14日以内に在留カードの再交付を出入国在留管理庁長官に申請する義務があるとされます。

なお、在留カードの毀損や汚損等の場合にも再交付申請が出来ますが、これは義務とはされません。

5.在留カードの返納義務

在留カードを交付された中長期在留者は、当該在留カードが効力を失った場合、その失効日から14日以内に在留カードを出入国在留管理庁長官に返納する義務があるとされます。

6.所属機関等に関する届け出

(1)「教授」「高度専門職1号(ハ)及び2号(ハに従事)」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「教育」「企業内転勤」「技能実習」「留学」「研究」ビザの中長期在留者

活動を行う日本にある公私の機関に関する「名称・所在地の変更」「消滅」「その機関からの離脱または移籍」をそれらが発生した日から14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出る義務があります。

(2)「高度専門職1号(イ)・(ロ)及び2号(イまたはロに従事)」「研究」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行(契約に基づき活動する場合)」「技能」「特定技能」ビザの中長期在留者

契約相手方である日本にある公私の機関(「高度専門職1号(イ)については法務大臣指定機関に限る)の「名称・所在地の変更」「消滅」「契約の終了」「新たな契約の締結」を、それらが発生した日から14日以内に出入国在留管理庁に届け出る義務があります。

(3)「家族滞在(配偶者としての活動に基づき許可を受けた者に限る)」「日本人の配偶者等(配偶者の身分に基づき許可を受けた者に限る)」「永住者の配偶者等(配偶者の身分に基づき許可を受けた者に限る)」ビザの中長期在留者

配偶者との離婚・死別を、それらが生じた日の14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出る義務があります。

7.旅券・在留カードなどの携帯義務

在留外国人は、原則として旅券を携帯する義務を負うとされますが、在留カードを交付された場合は、旅券の携帯義務はなく、代わりに在留カードの携帯義務を負うとされます。

入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官などが、職務執行にあたり、携帯が義務付けられた旅券や在留カードなど携帯が必要とされるものの提示を求めた場合には、それらを提示する義務を負うとされています。

「所属機関」の義務

1.「所属機関」一般の義務

在留ビザを許可された中長期在留者を受け入れている日本にある公私の機関は、中長期在留者の受入れの開始・終了その他の受入れ状況を、出入国在留管理庁を届け出るよう努める義務があるとされます。

いわゆる努力義務とされるものです。義務を履行しないとしても、サンクションはありません。

「特定技能」ビザに関連する義務

1.「特定技能所属機関」の義務

「特定技能」ビザを許可された者を受け入れている「特定技能所属機関」は、次の事項を行った場合、その旨を届け出る義務があるとされます。

  • 特定技能雇用契約の新規締結・変更・終了
  • 1号特定技能外国人支援計画の変更(軽微なものを除く)
  • 登録支援機関との1号特定技能外国人支援計画の全部実施の委託契約の締結・変更・終了

その他、「特定技能所属機関」は、特定技能ビザを許可され特定技能外国人の氏名・活動内容や1号特定外国時支援計画の実施状況(登録支援機関への全部実施委託の場合を除く)などの届け出義務を負います。

2.「登録支援機関」の義務

「登録支援機関」は登録申請書記載事項に変更があった場合、その旨出入国在留管理庁長官に届け出る義務があるとされます。

届出義務に違反した場合・罰則

入管法は、違反行為に対する罰則規定を設けており、最も重い刑としては、「1年以上、10年以下の懲役」とされています。(最も重い刑は、「在留カードの偽造・変造」に対するものです。)

在留外国人に対して入管法が求める義務の多くは、在留管理上の必要事項が生じた場合の届け出を義務付けるものですが、これらに違反した場合の罰則規定も設けられています。

  • を住居地、住居地以外の在留カード記載事項、所属機関等について虚偽の届け出をした場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処するとされています。
  • 住居地に関する届け出を怠った場合、住居地以外の在留カード記載事項・所属機関等に関する届出義務に反した場合、20万円以下の罰金に処するとされています。

実務上の経験からは、住居地の届け出は、市区町村に転居届時に合わせて行われるので、届け出を怠るケースはあまりないかもしれませんが、活動機関や所属機関の変更やそれらからの離脱については、必ずしも届け出が履行されていないケースがあるように感じています。

上記の通り、入管法に規定からは、活動機関や所属機関に関する届出義務を怠れば、刑事罰の対象となりえることとなりますので、注意が必要です。

それのみならず、在留ビザの変更・更新の許可、永住許可に関するガイドラインでは、許可条件あるいは審査対象事項として、入管法上の義務の履行は何れにも加えられています。

入管法の届出義務を怠っていた場合、申請が不許可となる事態もありうるということになります。

実務上、入管法の届出義務違反を理由として、永住許可申請が不許可となったケースを知見しています。

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