交通違反切符と永住許可申請

交通違反切符の種類

日本で自動車や原動機付自転車を運転して、交通法規・道路交通法と関連規則に違反した場合に、通常、警察官や交通巡視員から、違反を通告されるため、交通反則告知書を交付されす。

この交通反則告知書を、一般には「交通違反切符」と呼んでおり、これを交付されることを「交通違反切符を切られる」などと表現したりします。

「交通違反切符」は、おおまかに言って、「赤切符」「青切符」「白切符」に分別されます。

「赤切符」は、3つの中では重度の違反に対して交付されるものです。自動車の速度違反の場合、一般道で時速30km、高速道で40km以上の違反がこれにあたります。

「赤切符」を交付されると、違反を認めた場合にも、裁判手続を経て、刑事処分がなされることが予定されています。

「青切符」は、「赤切符」より、軽度な違反に対して交付されるものです。自動車速度違反では、一般道で時速30km未満、高速道で40km未満の違反です。

「青切符」を交付されると合わせて、反則金納付書が交付されます。違反を認めて、反則金を納付すれば、刑事処分を課されることはありません。(反則金を納付せず、違反を裁判で争うことも出来ますが、その場合は刑事処分を課される場合があります。)

「白切符」は、更に軽度の違反に対して交付されるもので、反則金は求められず、交通違反点数が加算されるだけのものです。

「交通違反切符を切られた」ことを永住許可申請書に記入すべきか?

在留ビザに関する申請書は、制定のフォームに必要事項を記載して提出することが定められています。

「在留資格認定証明書交付申請」「在留期間更新許可申請」などの、在留資格やその期間の異動を伴う申請書には、「犯罪を理由とした処分を受けたことの有無(日本国外におけるものを含む)」という様な、犯罪・刑事処歴を記入する欄があります。「永住許可申請書」も同様です。

この「犯罪・刑事処分」歴に、「交通反則切符を切られた」経験も記載すべきか、従来から議論となっていました。具体的には、「赤切符」を切られて罰金などを課された場合には、刑事処分にあたることは明確なので、記載すべきは明確なので、問題となるのは以下の場合です。

「青切符」を切られて、反則金を納付し結果として、刑事処分にはあたらなかった場合、および「白切符」を交付された場合、在留ビザ申請書に記載すべきかが議論があったのです。

なお、いずれの交通違反切符を交付された場合においても、これを争い、勝訴して刑事処分を課されなかった場合は、特に逮捕されたいしていない限り、記載の必要はないと考えます。(逮捕はそれ自体処分とも言えます、この点には別の議論はあるかもしれませんが、ここでは触れません。)

ところが、在留ビザ申請書の改訂が行われて、永住許可申請書以外には、「※交通違反等による処分を含む。」という付記が付け加えられました。

このことから、永住許可申請書以外の在留ビザ申請書の「犯罪・刑事処分歴」欄には、青切符・白切符の交付歴も含めて記入すべきということが明確にされたと考えることが出来ます。

それでは、永住許可申請書の「犯罪・刑事処分歴」欄にも、青切符・白切符の交付歴も記入すべきなのでしょうか?

一つの考え方としては、他の申請書を改訂した中で、永住許可申請書だけに、上述の交通違反に関する付記がなされなかったことは、法務省・出入国在留管理庁も必要ないとの考えを示したものと判断し、青切符や白切符の交付歴は記入不要とするものです。

その反対の考え方としては、国益適合などの許可条件が法定され原則10年以上の継続在留がガイドラインで示されるなど、永住許可申請は他の在留ビザ申請に比してより厳しく審査されることが想定できます。

従って、永住許可申請の申請書の記載について、他の在留ビザ申請に比して、「より軽く」求められているとは考えられないので、他の在留ビザ申請同様、青切符・白切符の交付歴も記載すべきとするものです。

また、帰化許可申請を行った場合、運転免許保持者は、「運転記録証明書」の提出が求められることが通常です。

当事務所としては、原則として後者の立場にたち、永住許可申請書の「犯罪・刑事処分歴」記載欄に、青切符や白切符の交付歴も記載すべき、もしくは申請書の何処か、もしくは添付書類の何れかに記載する方がよいと考えます。

交通違反切符は、永住許可申請の審査に影響するのか?

永住許可申請の審査基準

永住許可申請に関する行政手続法に定める審査基準として出入国在留管理庁が公表しているものは次の通りです。

  1. 素行が善良であること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

(注)日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子の場合は、1及び2に適合することを要しない。

この基準は、入管法の規定そのままであり、あまり具体的とは言えません。

永住許可のガイドライン

出入国在留管理庁が合わせて公表している永住許可ガイドラインでは、「法律上の要件」として、具体的に記述されています。以下の通りです。

(1)素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。

「交通違反切符」はどの様に評価されるのか

「交通違反切符」のうち、「赤切符」を交付されて結果、罰金刑を課された場合には、ガイドラインの(3)の「国益適合」のイに反し、逸脱することは明らかです。その点マイナス評価されるでしょう。

「青切符」や「白切符」」であれば、(3)のイに反するとは言えないでしょうが、(1)の「素行善良」にある、「法律遵守」を実践していないとマイナス評価される可能性があります。

これは、あくまで可能性の問題ですが、罰金刑があれば、刑の言渡しの効力が消滅していなければ、それだけで不許可になる可能性が充分あると考えます。

なぜなら、近年の「令和元年の永住許可ガイドライン」の改訂以降、住民税や社会保険料の延滞があった場合、税や社会保険料の適正履行に反するとして、その事由のみを理由として不許可となっているからです。

「青切符」については、たとえば一度きりの違反で不許可となるとは言い切れませんが、頻繁に「青切符を切られる様な場合は、不許可のおそれありと言えると考えます。

交通違反切符を切られた場合の「永住許可申請書」の書き方

青切符や白切符を交付されていれば、永住許可申請書に記載すべきという立場に立ちます。

具体的には第13項目の「犯罪・刑事処分歴」記載欄に青切符や白切符の交付歴も記載すべきか、もしくは申請書の何処か、もしくは添付書類の何れかに記載するべきと考えます。

もし、青切符・白切符以外にも記載すべき犯罪や刑事処分の履歴があれば、第13項目の「犯罪・刑事処分歴」欄に合わせて記載するか、書ききれなければ別紙を準備すべきでしょう。

また、青切符や白切符についても、他の犯罪・刑事処分歴と同様に、単に事実を記載するだけでなく、反省その他のコメントを付記することも必ず必要と考えます。

さいごに

永住許可申請やその他の在留ビザ申請の審査は、原則として書類審査により行われますが、提出された書類記載の事実や申述などのみが審査対象となる訳ではありません。

出入国在留管理庁も他の行政機関や公的機関などから情報を得ることは当然可能であり、実務上は他の行政機関などから情報を得たり確認を行っていると考えられます。

従って、交通違反などの不利な事実についても、許される限り、申請書への記入や資料提出を行わないことが有利になるとは言えません。むしろ不利な事実も積極に開示して、適切なexcuseを行うことがより賢明な態度と考えます。

もし、交通違反がある方で永住許可申請をお考えの方は是非、当事務所にご相談下さい。

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