留学生が日本で働くための「就労ビザ」取得への最短の道

「就労資格」ビザ・「非就労資格」ビザとは?

外国の方が日本で住むために必要とされるビザには、大きく分けて2種類のものがあります。日本での仕事や活動に合わせて取得できるものが、「活動資格」ビザと呼ばれるもので、日本人や永住者の配偶者などの身分に従って取得できるものが、「居住資格」ビザと呼ばれるものです。

「居住資格」ビザは、日本で行える仕事に原則制限はありませんが、「身分」に従って許可されるものなので、誰しもが取得できるものではありません。その意味では「活動資格」ビザの方が汎用性が高いものです。

「活動資格」ビザでは、行える「活動」が元々決められています。仕事や職業などの「有償の活動」を行うことができると定められたビザを「就労資格」ビザといいます。それら以外の「活動」を行うことができると定められたビザを「非就労資格」ビザといいます。

ここで、「有償の活動」というのは、事業を運営して収入を得たり、雇用されて給料などの報酬を得ることとされています。

「活動資格」ビザは「就労資格」ビザと「非就労資格」ビザとに分けられるということになります。

どの「活動資格」ビザをもつ人が多いのか?

「就労資格」ビザは、最新の「特定技能」も含めて、その数は20種類もあります。

「非就労資格」ビザは、5種類です。あまり多くないので列挙します。「文化活動」「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」です。(短期滞在はいわゆる観光ビザも含めるので、通常「日本に在留する外国人の数」には加えません。以下の記述からも除きます。)

平成30年6月末の時点で、「活動資格」ビザをもって日本に在留する外国の方は、約119万人でした。この数字は、平成26年12月末からの3年6ヶ月で、57%以上増加しています。(「外交」「公用」ビザを保有する人はこの数字には含まれていません。)

因みに「居住資格」ビザをもつ人は平成30年6月末で、約112万人でした。同じ3年6ヶ月間で約11%の増加でした。どちらも増加していますが、「活動資格」ビザの方が高い増加率を示しています。

「活動資格」ビザの中で「就労資格」ビザと「非就労資格」ビザを比べてみますと、「就労資格」ビザの保有者が約68万人、「非就労資格」ビザの保有者が約50万人でした(何れも平成30年6月末です)。

それでは、「活動資格」ビザの中でその保有者が最も多いのは、どのビザなのでしょうか?

一番多いのは「留学」ビザです。平成30年6月末で、32万人以上でした。これは、「活動資格」ビザ全体で、27%以上、4人に1人以上が、「非就労資格」ビザでは、その過半が「留学生」ということになります。

2番目は、「技能実習」でした。6種類全体で約29万人で、「活動資格」ビザ全体の約24%、「就労資格」ビザの4割以上でした。

2つのビザだけで、「活動資格」ビザの半分以上の人数を占めるということになります。

「就労資格」ビザで2番目に多いのが、「技術・人文知識・国際業務」で約21万人でした。「技能実習」ビザといわゆる「技人国」ビザで「就労資格」ビザの7割以上を占めることになります。

統計から読み解くと・・・

20種以上の「就労資格」ビザの大半の種類は、専門性・熟練性の高い就労者を対象としているものとされています。非熟練就労者を対象とするものは、「技能実習」ビザだけです。それ故、「半熟練」就労者を対象に、新しく「特定技能1号」ビザが設けられたとされます。

ビザの種類の多さに反して、専門性・熟練性の高い就労者は相対的には多くなく、非熟練就労者を対象とする「技能実習」ビザに就労者が集中しているということが言えます。

このことは、外国人への労働市場の開放を、より専門性の高い、より熟練度の高い就労者に限定したいとする「政治理念」・「政策理念」と、専門性や熟練性の高い労働者よりも、相対的に低賃金である労働者の方に需要が強いという労働市場の「市場環境」のズレが反映したものと考えます。(「特定技能」ビザの新設も、引き続き非熟練労働者への強い需要に対応しつつ、就労者の労働環境の劣悪性や職場からの逃亡などの社会問題となって顕在化した「技能実習」の制度疲弊を繕うというアンビバレンツな目的で導入されたものと言えます。)

「留学」ビザと「技能実習」ビザをもつ在留者数が突出して膨らんでいることが、オーバーステイとなる外国人の潜在的増加リスクを高めているとする見方もあります。

少し、話が難しくなりました。この章も含め、このサイトは政治的には中立です。あくまで、合法的にビザ取得を希望する外国の方々をサポートして行きます。これからいよいよ、「留学」ビザで日本で学ぶ外国人が、日本で就職して生活を継続するためのアドバイスに移ります。

「留学」ビザの内訳は?

「留学」ビザをもって、通学できる学校は、小・中・高校(義務教育学校・中等教育学校・特別支援学校の同様のクラスを含みます。)から大学、高等専門学校、専修学校、各種学校を含む幅広いものです。

「留学」ビザ保有者の学校別内訳はないのですが、独立行政法人「日本学生支援機構」の平成30年5月の留学生調査では以下の通りでした。

  • 大学院生・・・・・・・・50,184人(16.8%)
  • 学部大学生・・・・・・・84,857人(28.4%)
  • 短期大学生・・・・・・・・2,439人( 0.8%)
  • 高等専門学校生・・・・・・・・510人( 0.2%)
  • 専修学校(専門課程)・・・67,475人(22.6%)
  • 準備教育課程・・・・・・・3,436人( 1.1%)
  • 日本語教育機関・・・・・90,079人(30.1%)
  • 合計      ・・・298,980人

平成30年6月末時点での「留学」ビザをもって日本に在留する人数は324,245人でしたから、高校生以下の学生やその他の学校が対象でないことを考え合わせると、上の内訳は、高校生以下その他学校を除く「留学」ビザ保有者のほぼ実体を表しているということができます。

この数字では、大学院生・学部大学生・専門課程の専修学校生・日本語教育機関の学生が「留学」ビザのほぼ9割以上を占めると見ることができます。

以下では、この4種類の留学生を対象に「就労資格」ビザの取得方法を説明してまいります。

「学生」種類別の「就労資格」ビザ取得方法

以下に、学生種類別に卒業・終了後の「就労資格」ビザ取得方法を検討します。何れも、「日本人と同等額以上の報酬を受けること」が条件となります。

大学院生・学部学生

「留学」ビザをもつ大学院生・学部大学生が卒業後に日本で「就労資格」ビザを取得するには、「技術・人文知識・国際業務」ビザ(「技術・人文知識」の部分です。)が最も近道と言えます。「上陸許可基準」では、以下の要件だけが必要とされるからです。

  • 人文・社会・自然科学の何れかの分野に属する知識または技術を必要とする職務について関連する科目を専攻して大学を卒業または同等以上の教育を受けたこと
  • 人文・社会・自然科学の何れかの分野に属する知識または技術を必要とする職務について、その知識または技術を習得していること

つまり、大学または大学院を卒業し、専攻科目に基づく知識や技術を必要とする職業に就くのであれば、この基準をクリアするとされるからです。

また、「技術・人文知識・国際業務」ビザの「国際業務」の部分についても、母国語の「翻訳、通訳または語学指導」の職業に就くのであれば、おなじく基準をクリアすることができます。

「国際業務」にあたる職業については、職務経験3年以上が「上陸許可基準」の要件とされていますが、「翻訳、通訳または語学指導」については、大学卒業で足りるとされているのです。もちろん、「外国文化に基盤をもつ思考または感受性」を必要とする職業である必要がありますが、母国語に関連する「翻訳、通訳または語学指導」であれば、この点もクリアできると考えられます。

以上纏めると、「大学生」「大学院生」で「卒業見込み」の場合、専攻科目に関連する職業、もしくは母国語の「翻訳、通訳または語学指導」の職に応募・内定を得て、「技術・人文知識・国際業務」ビザへの「在留資格変更許可申請」を行うことが日本で継続して生活することの近道と言えます。

専修学校生(専門課程)

専門課程の専修学校生も、卒業後継続して日本で生活するためには、「技術・人文知識・国際業務」の「技術・人文知識」の部分のビザを取得することが近道です。ただし、専門課程の専修学校も卒業生については、「専門士」または「高度専門士」の学位を得ることが合わせて必要です。

また、「技術・人文知識・国際業務」の「国際業務」の部分の「翻訳、通訳または語学指導」の職については、専修学校(専門課程)の卒業だけでは足りないので、こちらは近道とは言えません。

以上纏めると、専修学校の専門課程を卒業して、専門士または高度専門士の学位を取得する見込みの場合、専攻科目に関連する職業に応募・内定を得て、「技術・人文知識・国際業務」ビザへの「在留資格変更許可申請」を行うことが日本で継続して生活することの近道と言えます。

では、「専門士」または「高度専門士」の学位を得られない場合は、どの様にすれば良いのでしょうか?

この場合、母国での職務経験にもよりますが、同じ「技術・人文知識・国際業務」ビザの「国際業務」部分については、その対象業務は、「翻訳、通訳または語学指導」の他「広報、宣伝、海外取引業務、服飾または室内装飾デザイン、商品開発、その他類似の職」と幅広い職業が対象です。母国資本の企業や母国との取引を行う企業で、母国語を用いて何れかの職業に就くことができ、当該職務の経験が3年以上あれば、「技術・人文知識・国際業務」のビザへの「在留資格変更許可申請」が可能です。

ビザの許可において、学歴以外で、職歴を要求される場合で、もっとも短い期間を条件とするのが、「技術・人文知識・国際業務」の「国際業務」部分です。

更に、専修学校の専門課程の専攻がその職務と関連していれば、その専攻期間も職務経験期間に算入できます。例えば2年の教育を受けたのであれば、職務経験は1年以上でよい訳です。

日本語教育機関の学生の場合

日本語学校などの卒業、終了がビザ取得の要件とされることは「就労資格」ビザでは、これまでほぼありませんでした。(「居住資格」ビザにおいて日本語能力が要求されることはあります。)

新設の「特定技能1号」は、日本語能力を要求しますので、日本語学習に結果として、所定の試験を受験し、所定の結果を得ることができれば、それなりの価値があるかもしれません。

但し、「特定技能1号」ビザは、「日本語」と「技能」の両方を試験でパスすることが要件なので、ある程度の職務経験がなければ難しいかもしれません。

そこで、考えられるのが、母国語の語学教育の教師として、「教育」ビザを申請することです。母国語の教育のニーズが日本であることが前提となりますが、この場合以下の要件が必要となります。

・教育を行う外国語での教育を12年以上受けていること

母国で、日本の小学校・中学校・高等学校に当たる年数の教育を受けていれば、この要件はクリアできます。

また、日本語と母国語の両方の能力があれば、応募も可能なケースも多いものと考えます。

最後に・・・

外国からの「留学生」が就職先を探しているうちに、在留期限が来てしまったら、どうなるのでしょうか?

就職活動、求職活動中であることを理由に、在留期限後の滞在が許される訳ではありません。とはいえ、学校を卒業していれば、「留学」ビザの延長もできません。

とりあえず、「特定活動」ビザなどに「在留資格変更許可申請」をする必要があります。申請することにより、たとえ許可されなかったとしても、期限後2カ月は日本に留まることができます。

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