「在留期間」はどうやって決定されるのか?

「在留期間」とは?

「永住者」ビザと「高度専門職2号」ビザを除いて、全ての在留ビザには、5年を上限とする「在留期間」という有効期間があり、更新許可を得なければ、その期限を過ぎて、日本に留まることは出来ません。

在留期間は、入管法の規定に従い法務省令でビザごとに定められていますが、その殆どは、幾つかの選択肢の中からビザが許可されるときに合わせて期間も決定するとされています。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザであれば、法務省令では、在留期間は、「5年・3年・1年・3ヶ月」とされていますが、ビザが許可されるときに合わせて、この4つの期間の何れかに決定される訳です。

具体的な決定プロセス

ビザの許可時に在留期間も決定されるからと言って、出入国在留管理庁で、全く任意に在留期間を決める訳ではありません。

新規にビザを申請する場合、「在留資格認定証明書交付申請」の申請書の様式には、対象となるビザを示す「入国目的(Purpose of Entry)」の他に、「滞在予定期間(Intended Length of Stay」を記入することになっています。

そして、「在留資格認定証明書」の「在留資格(Status)」欄には、合わせて期間が記入され、これに基づき、入国審査を経て、上陸許可がなされるに際し、パスポートに在留資格と在留期間が証印として押される訳です。

ビザを変更する場合、「在留資格変更許可申請」の申請書の様式には、「希望する在留資格(Desired Status of Residence)」と合わせて「在留期間(Period of Stay)」を記入することになっています。

そして、ビザの変更が許可される場合、在留カードの保有者には変更後の在留資格と在留期間が記された新しい在留カードが交付され、そうでない場合には、パスポートに新しい在留資格と在留期間が証印されるのです。

従って、在留期間は、申請内容に従い決定される手続にはなっています。とはいえ、勿論申請通りに在留期間が認められる訳ではありません。

少なくとも、申請された在留期間を超えて認められることはまずないと考えてよいかと思われます。

「在留期間」はどうやって決定されるのか?(入国審査)

入管法は、入国審査時に入国審査官は、上陸許可をする際に、「在留資格」と「在留期間」を決定するとされます。

この場合、入国審査官は、全くゼロから審査するのではなく、入国審査を受ける外国の方が、日本政府の在外公館で受けた査証に基づき決定を行っていると言うことができます。

現行の制度では、殆どが「在留資格認定証明書」に基づき決定されているものということになるかもせれません。

「在留資格認定証明書」の審査基準は、入管法で次の通り定められています。

  1. 申請された日本国内で行うとする仕事その他の「活動」内容が虚偽でないこと
  2. 申請された日本国内で行うとする仕事その他の「活動」内容が、入管法が個々のビザごとに定める「活動内容」の何れかに該当すること
  3. 就労ビザの一部については、法務省令で定める基準(「上陸許可基準」と呼ばれるものです。)に適合すること

「在留資格認定証明書」の交付権限は、法務大臣ですが、入管法の規定では、「証明書を交付することができる。」とされており、いわゆる裁量行為であることを示しています。

裁量行為といっても、行政が自由勝手に決めれる訳ではありません。上述の基準に明らかに反することはできませんが、審査基準に合っているのか判断が難しい場合や審査基準が定めていないことについては、行政が自らの判断で決めることができる訳です。

在留期間については、審査基準の対象ではありません。

では、在留期間は全く行政サイドの自由な判断に委ねられているのでしょうか?

ビザの変更についても見てみましょう。

「在留期間」はどうやって決定されるのか?(変更)

ビザをもって日本で生活している外国の方が仕事に就きたい、を変えたいなどの理由でビザを変更をする場合、新たなビザに従った在留期間が決められることは既に述べました。

ビザ変更の申請についての審査基準は入管法で定められていますが、法務省のサイトでは、更に補足して次の通りとされています。

  1. 申請された日本国内で行うとする仕事その他の「活動」内容が虚偽でないこと
  2. 申請された日本国内で行うとする仕事その他の「活動」内容が、入管法が個々のビザごとに定める「活動内容」の何れかに該当すること
  3. 在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があること
  4. 「短期滞在」ビザの者は、以上に加えてやむを得ない特別の事情に基づくものであること

「在留資格変更」の許可権限は、やはり法務大臣で、入管法の規定では、「許可することができる。」とされており、裁量行為であることを示しています。

やはり、ビザ変更時の在留期間の決定も全く行政サイドの自由な判断に委ねられているのでしょうか?

「在留期間」の決定には、きまりがある。

もちろん、出入国在留管理庁が勝手気ままに「在留期間」を決めている訳ではありません。行政としての合理的判断に基づいて決定しているのです。

そして、個々の在留期間の決定が矛盾なく一貫して、「組織決定」されるため、公表されてはいませんが、一定の基準に基づいて決定されているのです。

その基準は、あくまで行政内部の「取扱要領」「マニュアル」の様なものなのです。細部まで内容がわかるものではないのですが、実務上そのおよそが把握できています。

以下に、「就労ビザ」「居住資格ビザ」別に、そして「新規取得」「ビザ更新」別に、5年の「在留期間」の獲得・維持のための条件を解説します。

「就労ビザ」の「在留期間5年」を獲得するには(新規申請時)

就労ビザの多くは、ビザの取得者が、日本国内の公私の機関、つまり会社や団体などと雇用契約などと締結することを条件として許可されます。

就労ビザの在留期間の決定については、この雇用契約などを締結する会社などの分類が大きな要素となっているのです。

法務省は、ビザ申請者が所属する「日本国内の公私機関」を次の4つに分類しています。

カテゴリー1

  • (1)日本の証券取引所に上場している企業
  • (2)保険業を営む相互会社
  • (3)日本または外国の国・地方公共団体
  • (4)独立行政法人
  • (5)特殊法人・認可法人
  • (6)日本の国・地方公共団体の公益法人
  • (7)法人税法別表第1に掲げる公共法人
  • (8)一定の条件を満たす中小企業等 (厚生労働省認定の「ユースエール認定企業」

カテゴリー2

  • 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人

カテゴリー3

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4

  • 上のいずれにも該当しない団体・個人

「在留期間」5年の条件

以上の所属機関の4つのカテゴリーを前提として、5年の在留期間の就労ビザが許可される条件は以下の通りです。

  1. 経営・管理する(「経営・管理」ビザの場合です。)または契約する会社や団体などの機関がカテゴリー1または2に該当すること
  2. 就労予定期間が3年を超えること

これだけです。つまり、特に期限のなく長期に勤務する予定の雇用契約を上場企業や公的機関ろ結べば、5年の在留期間をとれる可能性がある訳です。

逆に、日本での長期の生活を予定しても、所属先がカテゴリー3なら3年以下、カテゴリー4なら1年以下の在留期間とされる可能性が高いでしょう。

「就労ビザ」の「在留期間5年」を維持・獲得するには(更新申請時)

「在留期間5年」を維持するには?

既に在留期間5年の就労ビザをもつ方が、更新申請をする場合に引き続き5年の在留期間を許可されるための条件は次の通りとされます。

  1. 申請者本人が入管法上の届出義務を履行していること
  2. 義務教育の子をもつ場合、その子が小学校または中学校あるいはインターナショナルスクールなどに通学していること
  3. 所属機関がカテゴリー1または2に該当すること
  4. 就労予定期間が3年以上であること

所属機関がカテゴリーを維持していれば、大きな負担となるものではありません。

「在留期間3年」を更新して「在留期間5年」とするには?

3年の「在留期間」であった就労ビザの方が、更新申請後5年の「在留期間」を許可されるには、以下の条件とされます。

  1. 申請者本人が入管法上の届出義務を履行していること
  2. 義務教育の子をもつ場合、その子が小学校または中学校あるいはインターナショナルスクールなどに通学していること
  3. 所属機関がカテゴリー1または2に該当すること、または日本で5年以上同じビザで仕事をしていること
  4. 就労予定期間が3年以上であること

所属先がカテゴリー1または2であったが、元々3以内のプロジェクトで滞在する予定で3年の在留期間の決定を受けていた者が、期限のないポストに移り、3年以上の勤務を予定する様な場合には、5年で更新できる可能性があることとなります。

所属先がカテゴリー3か4である場合でも、5年以上同じビザで生活した後に更新申請すれば、5年を取得できる可能性がある訳です。

「居住資格ビザ」の「在留期間5年」を獲得するには(新規申請時)

「配偶者ビザ」の場合

新規に配偶者ビザを取得する場合で、在留期間5年の許可を得るための条件は次の通りです。

  1. 主たる生計維持者が納税を履行していること
  2. 家族構成・婚姻期間などから、婚姻および配偶者の身分に基づく生活の継続が見込まれ、かつ婚姻後3年以上の同居していること

新婚早々では、5年の在留期間はもらえないことが予想される訳です。

「子どもビザ」の場合

日本人や永住者の子どもビザを新規に取得する場合で、在留期間5年の許可を得るための条件は次の通りです。

  1. 申請人または親が入管法上の届出義務を履行していること(日本人の子どもが来日する場合は適用されません。)
  2. 申請人または親が公的義務を履行していること(日本人の子どもが来日する場合は適用されません。)
  3. 義務教育期間の子どもは、小学校または中学校あるいはインターナショナルスクールなどに通学していること(日本人の子どもが来日する場合は適用されません。)
  4. 主たる生計維持者が納税を履行していること

子どもが未成年などであれば、親に関する条件が殆どと言えます。

「居住資格ビザ」の「在留期間5年」を維持・獲得するには(更新申請時)

「配偶者ビザ」の場合

配偶者ビザを更新する場合で、在留期間5年の許可を得るための条件は次の通りです。

  1. 入管法上の届出義務を履行していること
  2. 公的義務を履行していること
  3. 義務教育期の子どもがある場合には、小学校または中学校、あるいはインターナショナルスクールなどに通学していること
  4. 主たる生計維持者が納税義務を履行していること
  5. 家族構成・婚姻期間などから、婚姻および配偶者の身分に基づく生活の継続が見込まれ、かつ婚姻後3年以上の同居していること

新婚時には、在留期間5年を得られなかったとしても、更新時に5年を得られる可能性がある訳です。

「子どもビザ」の場合

子どもビザを更新する場合で、在留期間5年の許可を得るための条件は次の通りです。

  1. 申請者本人または親が入管法上の届出義務を履行していること
  2. 申請者本人または親が公的義務を履行していること
  3. 義務教育期の子どもである場合には、小学校または中学校、あるいはインターナショナルスクールなどに通学していること
  4. 主たる生計維持者が納税義務を履行していること

親に税金や社会保険の未納があった場合も、未納解消し、その後一定期間税金も社会保険料も適切に納付することを継続すれば、5年の在留期間を認められる可能性があります。

まとめ

在留期間は、永住者と高度専門職を除き、5年が最長です。長期に日本での生活を予定する場合、5年の在留期間を希望されるのが当たり前かもしれません。

在留期間5年の許可を得ることができるかどうかは、就労ビザであれば、どこに勤めるのか、配偶者や子どもの居住資格ビザでは、税や社会保険料をキチンと払っているか、夫婦は同居しているか、が鍵となります。

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