配偶者ビザへの『変更』が不許可になるケース

はじめに ~ Change to or Extension of a Spouse Visa ~

日本人または永住者の配偶者となれば、身分や地位に基づく、いわゆる「配偶者ビザ」を取得することができます。正式には、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」という名称にビザです。

以下では、単に「配偶者ビザ」とします。

「配偶者ビザ」をもつ場合には原則、仕事を自由に選択できるため、有利な「人気のビザ」です。

「配偶者ビザ」の更新、「配偶者ビザ」への変更に関する注意点、「落とし穴」について解説してまいります。

配偶者ビザの更新が必要になるのはどんなとき?

配偶者ビザには、在留期間があります。

日本人が日本に住むことには勿論期限がある訳ではありませんし、「永住者」ビザにも期限はありません。

配偶者ビザをもつ場合には、期限が来る前更新手続をしなければ、そのまま日本で生活することはできなくなる訳です。

更新するためには、各地方の出入国在留管理局に申請して許可を得る必要があります。ビザの申請に対する許可・不許可の処分は、「裁量行為」とされます。

書類を揃えて提出したからと言って、必ず許可される訳ではないのです。

ビザ更新の申請も不許可となる場合がある訳なのです。

例えば、更新申請した時に、既に配偶者である日本人または永住者とは離婚していて、日本人や永住者の配偶者でなくなっている場合には、許可されません。これは当然と言えます。

また、離婚している訳ではなくても、例えば離婚などせずに、法律的には夫婦関係にあったとしても、夫婦仲が悪くて別居している様な場合にも、更新が不許可となることがあります。

夫婦どちらかが転勤で単身赴任している様に、合理的に説明できる理由があって別居している場合にも、別居していることが問題とされる訳ではありません。

配偶者ビザの条件となる「配偶者」であること、その身分・地位とは、単に法的に、形式的に婚姻関係にあるだけでなく、扶助・協力する実体的な夫婦関係が必要とされるのです。

合理的な理由なしに別居している様な場合は、この条件を充たさないとされるからです。

この「必要条件」は、配偶者ビザを取得した時、或いは配偶者ビザに変更した時だけでなく、配偶者ビザをもって日本に生活する以上、継続的に必要なこととされています。

入管法の規定では、6ヶ月以上合理的理由なく別居が継続している場合、配偶者ビザが取り消されることもあり得るとされています。

配偶者ビザへの変更が不許可になる具体的なケース

配偶者ビザの条件となる、日本人または永住者の配偶者であることについて、法的、形式的な婚姻関係だけではなく、実体的な夫婦関係が必要とされています。

そのことが、最も問題とされるのは、やはり就労ビザなど他のビザから配偶者ビザへ変更しようとするような場面です。

ケース1 現在所持しているビザ(就労ビザなど)が切れる直前に結婚した場合

配偶者ビザへの変更が不許可となる典型的な例は、専ら配偶者ビザ取得を目的として結婚する様な場合です。

ビザ取得のため、ブローカーを通じて偽装結婚するといった刑事事件がメディアに取り上げられることもあります。

その様な悪質なケースとは言えなくとも、専らビザの取得目的の結婚と見られる可能性があると、配偶者ビザへの変更は多くの場合不許可となるおそれがあります。

もし現在のビザの期限直前に結婚し、配偶者ビザへの変更を申請した様な場合、特に従来のビザのままでの更新が難しい様な事情があれば、注意が必要です。

勤め先を自主的に退職している様な事情です。

その様な場合には、結婚の経緯や生活状況から夫婦として実体が伴った結婚であることを、積極的に証明して申請を行う必要があるでしょう。

ケース2 短期ビザから配偶者ビザに変更を希望する場合

実は、「配偶者ビザ」への変更に限らず、「短期滞在ビザ」から他のビザへの変更の審査は厳しいのです。

入管法の規定でも、「短期滞在ビザ」からの変更申請は、「やむを得ない事情がないと許可されない」とされてます。原則不許可なのです。

「配偶者ビザ」への変更は尚更厳しいと言えます。そもそも旅行などの目的で来日して、短期間のうちに、いきなり日本で結婚するというのは通常あり得ないでしょうから。

海外で長く生活した日本人が帰国後に日本で結婚するつもりで、相手方が取り急ぎ短期ビザで入国したといった特別な事情がなければ、不許可とされるおそれがあるでしょう。

ケース3 留学ビザで決められている勤務時間を超過して働いている留学生の場合

留学ビザの留学生がアルバイトをするには、「資格外活動許可」という許可を出入国在留管理局から得た上で行う必要があります。

また、アルバイトができる時間も、夏休みなどの長期休暇を除いて、原則として1週間で28時間が上限とされています。

この上限を超えてアルバイトをした場合、「資格外活動許可」を取り消されれるおそれがあります、

それだけではなく、ビザを更新や変更を申請しても、入管法の規定に違反したことを理由として、更新や変更の許可を受けられない可能性があります。

留学ビザで日本で生活する留学生が、日本人または永住者と結婚して、配偶者ビザへの変更を申請すること自体は、決して不自然なことではありません。

しかしながら、アルバイト時間の上限超過という入管法違反があれば、配偶者ビザへの変更が許可されないというデメリットを被る可能性があるわけなのです。

ケース4 交際歴が短い場合

交際歴が短いことは、法的に結婚が無効になるものではありません。「交際ゼロ日婚」でも構わない訳です。

しかし、結婚を理由として、外国の方が配偶者ビザを申請して許可するには、交際歴が短いと、やはりビザ目的の結婚でないことを積極的に説明していかなければならないのです。

交際期間以外の事由で、結婚の「自然さ」を証明する必要があります。

結婚式や披露宴などの社会的儀礼行為を実践したとか、親類の紹介で知り合ったことなどが上げられるでしょう。

ケース5 お相手と結婚相談サイトや出会い系サイトで出会った場合

近年、結婚するカップルがどこで知り合ったかは、様々です。「結婚相談サイト」や「婚活サイト」、場合によっては「出会い系サイト」で知り合ったという場合もあるでしょう。

配偶者ビザについては、ビザ取得目的の偽装結婚という問題がかつてあり、現在もあります。その場合、違法ブローカーが存在することが常態となっています。

誰しもがネットで情報を得る様になり、違法ブローカーの多くはそういった結婚相談サイトや出会い系サイトに紛れこんでいるものなのです。

サイトで知り合って結婚し、配偶者ビザを申請する場合、「偽装結婚」である疑いを掛けられない様に、交際期間がそれなりに長いことや、結婚式や披露宴を行ったこと、同居の事実などを説明する必要があるでしょう。

ケース6 交際歴自体は長いが、お互いが対面で付き合っている期間が短い場合

日本人同士のカップルでも遠距離恋愛で、滅多に会わない交際も珍しくない昨今です。国際間の恋愛ともなればなおさらでしょう。

それでもやはり、ここでも偽装結婚の疑いを避ける必要があるのは、日本と海外での遠距離恋愛では、実際に交際がなされていたかどうかをなかなか証明しづらいからです。

メールのやりとりや文通していた事実を提出できるなら準備する必要があります。

あまり、他人に公開したくないということであれば、やはり結婚式や披露宴を行ったこと、同居の事実などで実体ある夫婦関係を証明することとなります。

ケース7 お相手のご両親に結婚の報告がされていない・知らない場合

国によっては、結婚した事実を親が知らないということが不自然でないこともあるかも知れません。

日本では、かつては親の承諾なしに結婚してはいけないという考えをもつ人が多かったと言えます(勿論、現在では法的には「両性の合意」があれば婚姻は有効とされます)。

現在でも、親の承諾とまでは言わずとも、親に結婚の報告をするのが一般的とは言えるでしょう。

国際間の結婚においても、もし、親が知らない結婚であれば、ビザ目的の「不自然な」結婚との疑いを持たれない様にすることが必要となります。

一定の交際期間を経ての結婚であること、披露宴はないかもしれませんが、友人を呼んで結婚式をしたこと、同居していることなどの事実は積極的に説明することが肝心です。

ケース8 収入が少ない場合

このケースは、これまでの説明とは異なる理由によって、ビザ取得が難しくなる場合についてのものです。

これまでに説明したケースのいくつかは、結婚や婚姻が実体あるものであり、ビザ目的の偽装結婚でないことが配偶者ビザへの変更には必要であることに基づくものでした。

一般的にビザの変更や更新には、申請対象のビザが仕事や身分に合致していることやビザの許可基準をクリアしているという条件の他に、いくつか充たすべき条件があるとされています。

その中に、「独立の生計を営むに足りる資産や技能(職能、つまりは収入のことです)があること」というものがあります。

ビザを許可し、日本での生活を認めても、その後生活保護などの公的負担となることは好ましくないとされるからです。

配偶者ビザもその例外ではありません。申請書に夫婦何れかの職業と収入に関する証明書を付ける必要があるのはそのためです。

夫婦両者合わせて、相応の収入があればよいのですが、二人合わせても生計を立てるのが難しい様であれば、配偶者ビザへの変更は不許可となるおそれがあります。

ビザの更新が不許可にならないためにできること

以上、8つのケースで、配偶者ビザへの変更が不許可となるおそれのある事例を説明してきました。

その中心となるのは、実体ある婚姻・夫婦関係であることを、ビザ目的の結婚でないことを、如何に証明・説明できるかです。

配偶者ビザの申請書には、制定のフォームに基づく「質問書」という書類を添付する必要があります。この書類は、次のものを含むものです。

  • 相手方の日本人または永住者の職業その他の基本情報
  • 結婚の経緯、紹介者の有無や紹介者との関係
  • 日常会話での使用言語と会話方法
  • 結婚式・披露宴の有無とその内容
  • 離婚歴と回数
  • 退去強制の有無
  • 過去の来日歴
  • 親族に関する情報
  • 親族が結婚を知っているか否か

およそ、上述した「実体ある結婚」か否かを判断する項目を網羅するものと言えます。

質問書を準備して提出して申請を行った場合も、申請後にヒアリングや追加資料の提出を求められこともあります。

特に積極的にアッピールすべき事実については、補完的に事実を証明できる資料を別途準備しておくことが重要です。

「独立した生計」条件についても、もし十分な収入証明書が準備できなければ、補充資料が必要です。

新たに就職して生計を賄う予定であれば、雇用契約やオファー・シートの写しなどを合わせて提出できる準備をしておくことが必要です。

まとめ

「配偶者ビザ」は、仕事の選択が自由な有利性から、多くの人の望む「人気ビザ」であり、「偽装結婚」による不正取得の問題などが生じたことがあります。

そこで「実体ある婚姻・結婚」であることを積極的の説明、立証しなければ、許可されないおそれがあるものとなっているのです。

申請書に添付の「質問書」だけでなく、補完説明資料の作成が必要なケースもあります。行政書士に依頼することで、不許可のリスクを極力少なくすることが可能です。

ご質問・ご照会・ご依頼については、お気軽に当事務所のご連絡下さい。

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