「配偶者ビザ」を持つ外国人が離婚した場合、ビザ・在留資格はどうなるのか?何をすべきか?
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のビザをもって日本で生活する外国の方が離婚した場合、予想される事柄、可能な対応や準備について解説します。
「配偶者ビザ」をもつ方は離婚するとどうなる?
「配偶者ビザ」をもつ外国の方が離婚した場合、入管法はどの様に規定しているのでしょうか?
「配偶者ビザ」をもつ中長期在留者が配偶者と死別または離婚した場合、死別または離婚の日から14日以内に死別または離婚の事実とその年月日を法務大臣に報告する必要があると定めています。
この報告義務に違反した場合、20万円以下に罰金に処すると入管法は規定します。
なお、既婚・未婚の別や相手の情報などは在留カードの記載事項でないので、記載事項の変更の届出対象とはなりませんが、離婚に伴い氏名の変更が生じる場合には、在留カード記載事項の変更にあたるので、変更後14日以内の報告が必要となります。
「配偶者ビザ」にはどの様な影響を及ぼすのでしょうか?
入管法は、「配偶者ビザ」をもって日本に在留している方が、「配偶者の身分を有する者としての活動」を6ヶ月継続して行わない場合、在留資格を取り消す、すなわちビザを取り消すことができるとしています。
離婚していることが、「配偶者の身分を有する者としての活動」に当たらないことは明らかなので、離婚後6ヶ月経過した時点で「配偶者」ビザは取り消される可能性があることになります。
もちろん、離婚から6ヶ月経ったら必ず「配偶者ビザ」が取り消されるという訳ではなく、そのリスクがあるということです。
「配偶者ビザ」をもつ外国の方が離婚の事実を入管法の規定に従った法務大臣への報告を万一していない場合、必ずしも離婚の事実自体が、入管当局の知るところとならない可能性が高いのですが、かといって取り消されない保証はありません。(その場合、更に罰則も受けるおそれがあります。)
もし、「配偶者ビザ」が取り消された場合どうなるのでしょう?原則として、30日以内の出国の準備期間を指定されて、その期間内に帰国する必要が生じることとなります。
但し、「配偶者ビザ」を取り消す場合には、在留資格変更許可申請または永住許可申請の何れかの機会が与えられることを入管法は規定しています。いきなりビザが取り消されて帰国準備という訳ではないのです。
離婚後も日本で暮らすためには?
「配偶者ビザ」で日本で暮らす外国の方が、離婚後も日本で暮らすにはビザの変更が必要です。考えられるビザは、およそ以下の通りです。
- 「定住者」ビザ・・・一般的に「離婚定住」と称されるビザです。法務大臣が「定住者」について指定した「定住者告示」に規定のない「告示外定住」とされ、許可条件は明確ではないのですが、職業を自由に選べることから、これを目指す方が最も多いと考えられます。
- 就労ビザ・・・現在の職業に見合った就労ビザです。対象となる就労ビザの許可条件をクリアしている場合、「定住者」ビザより取得可能性が高いと判断され選択されることがあるでしょう。
- 永住者ビザ・・・永住許可の許可条件をクリアしていることはもちろんですが、永住許可は取得が難しいビザではあるので、就労ビザの取得可能性があれば、とりあえずそちらを優先的に申請する方が無難かもしれません。
- その他・・・日本人または永住者の子としてのビザ、場合によっては「家族滞在」ビザも考えられますが、それほど多いケースではないかもしれません。
それでは、ビザの変更申請はいつまでに行えば良いのでしょうか?
先の記述では、ビザ取消時に変更申請できる機会が与えられるとされています。取り消されるギリギリまで待っても大丈夫なのか?申請することだけを考えれば、そういうことになるかもしれません。
しかしながら、離婚した日から14日以内に離婚したこととその年月日を法務大臣に報告していたとしても、「配偶者ビザ」をもつ外国人が離婚後も在留すること、入管法上は違法と評価されるおそれがあります。
「配偶者ビザ」などの「身分」に基づく「居住資格」ビザをもつ人は、「身分または地位」を有する者としての活動ができると規定されています。「配偶者ビザ」をもって、離婚後も日本で生活することは、「できる活動」ではなく、入管法に反することになるからです。
そして、そのことは「公法上の義務違反」として、ビザ申請の審査においては、マイナス評価をされます。ビザ変更申請が後になればなるだけ、違法状態を長く放置したとして、より大きなマイナス評価となるおそれがあります。その意味では、ビザ変更申請は早ければ早い方がいいのです。
とはいえ、離婚の成立時点でビザ変更手続を済ませておくのは実際には難しいかもしれません。離婚にはエネルギーが必要で、様々な手続に目配りするのは難しいからです。
入管法が、「離婚後6ヶ月経過」すれば、「配偶者ビザ」を取り消せるとする法の趣旨から見て、遅くとも離婚後6ヶ月経過までには、申請手続を行う方が良いでしょう。(ビザ変更申請をしたからと言って、上に述べた「違法状態」が解消される訳ではありません。申請はできるだけ早く行うべきです。)
その場合でも、離婚後14日以内の報告義務を果たしておく必要があることは言うまでもありません。
何を事前に準備する必要があるか?
「配偶者ビザ」の外国の方について、離婚が決まった場合、或いは離婚の方向で交渉をしている場合で余裕があるのなら、次の生活の準備をすることが必要です。
転居準備などもあるでしょうが、有効なビザをもって日本で生活するためには、ビザ変更申請の許可を得るための条件を揃えておく必要があります。
以下に、「離婚定住」ビザと就労ビザについて準備事項を説明します。
「離婚定住ビザ」を申請するなら
「離婚定住」ビザは、法務省告示にな告示外定住と呼ばれるビザの1つで、かならずしも許可基準が明らかでないとしました。
いくつかの条件は実務上把握されています。次の通りです。
- 独立した生計を営むことが可能な資産または技能(=職業)があること
- 日常生活に不自由ない程度の日本語能力があること
- 公的義務を履行していること
少なくとも、ビザ変更申請までには、最低この3つの条件は揃えておくことが必要と考えられます。
1については、もしこれまで、配偶者の収入に依存していて、無職であったのであれば、申請までに就職活動をして収入を得る方法を得ておくことが必要です。
「定住者」ビザを取得できれば、仕事に選択は自由なので、職種を限定する必要はありません。
2については、もし、配偶者と日本語以外で会話していた様な場合、問題となるかもしれません。但し、試験で日本語能力を証明することまで要求されるものではありません。買い物などで必要な日常会話程度はマスターしておくべきです。
3の公的義務は、主として、納税義務、社会保険料納付義務、入管法上の届出義務とされます。もし未納などあれば、申請までに支払いを済ませておく必要があります(もちろん、そのことで公的義務の履行に問題なかったと評価される訳ではないかもしれませんが、支払いを行う方がベターであることは間違いないでしょう)。
就労ビザを申請する場合
「配偶者」ビザをもっていれば、仕事の選択は自由です。その仕事に対応する就労ビザを取得できるかどうかを考えて選んだ仕事では必ずしもないはずです。
就労ビザの申請を行うには、現在の仕事に対応するビザの許可基準をクリアできるかを確認する必要があります。
もし出来ないようであれば、まずは「定住者」ビザを目標とすべきと考えます。
但し全く日本語ができないというような事情があれば、転職して就労ビザの取得を目指すことも選択肢かもしれません。
その場合、就労ビザの中で、最もポピュラーなものの一つとされる「技術・人文知識・国際業務」ビザが狙い目と言えるかもしれません。
もし、離婚した、離婚する「配偶者ビザ」の外国の方が、大卒だとします。その場合、大学での専攻科目と仕事で必要とされる知識や技能が一般的関連性をもてばビザの許可基準をクリアするとされます。その様な職業を探すことが必要となります。
或いは、母国語の翻訳・通訳・語学指導の職でも、大卒であれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得できる可能性があります。
もし大卒でなければ、「技術・人文知識・国際業務」ビザでは10年以上の実務経験が必要とされますが、「国際業務」に当たるものであれば、3年の実務経験で取得できる可能性はあります。
具体的には、 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝または海外取引業務、服飾や室内装飾に関するデザイン、商品開発その他とされますが、自国の企業や商品との関連性が必要となります。
その他では、就労ビザの対象となる資格があれば、その資格を要する職に転職することも考えらますが、そもそも資格があればその資格を生かした仕事に就いていることが多いかもしれません。
まとめ
「配偶者」ビザをもつ外国の方が離婚した場合、14日以内の報告義務を忘れずに行う必要があります。(もし、遅れたとしても、できるだけ早く報告することが重要です。)
そして、日本での生活を続けるには、ビザの変更申請を行い許可を得る必要があります。どのビザを申請するべきかすればいいか?そのために何を準備すればいいか?離婚後6ヶ月に決め、実施する必要があります。
当事務所では、「配偶者ビザ」をもつ離婚された方のビザ変更申請について全面的にサポートいたします。お気軽にご連絡下さい。
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