多種多彩なビザ、「技能」ビザとは?
どんなビザなのか?
「技能ビザ」の対象となる職業について、入管法では次の通り規定しています。
「日本国内の公私の団体・企業との雇用契約などの契約」に基づいて行う、「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能」を必要とする職業
雇用契約などを前提とする就労ビザであることは分かりますが、具体的な職務内容は抽象的にしか規定されていません、
ところが、ビザの許可基準である「上陸許可基準」では、具体的な9つの職業ごとに基準が記されており、9つの職業が対象であることが分かります。(「上陸許可基準」の改正がない限り、この9つの職業だけが「技能」ビザの対象ということになります。)
対象の9つの職業とは?
「上陸許可基準」で記された次の9つの職業で、何れも「技能を要する職」に当たるものです。
- 外国で考案され、日本では特殊な、料理の調理または食品製造業
- 外国に特有な建築または土木
- 外国に特有な製品の製造または修理
- 宝石、貴金属または毛皮の加工
- 動物の調教
- 石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削、または海底鉱物探査のための海底地質調査
- 航空機の操縦=パイロット
- スポーツの指導
- ぶどう酒の品質の鑑定・評価・保持とぶどう酒の提供=ソムリエ
許可基準は?
以下には、9つの職業別に、どんな職業なのか、許可基準などを説明してまいります。
外国考案の料理・食品
中国料理、フランス料理、インド料理の料理人やパン・デザートの職人、パティシエなどが該当するとされています。
中国料理が「日本で特殊」にあたるとされているので、その他のエスニック料理の料理人であれば、ほぼ該当するでしょう。
但し、自国料理以外は難しいかもしれません。(近隣国の料理なら大丈夫かもしれません、「スカンジナビア料理」とか「南米料理」括れるからです。)
許可基準
次の何れかです。
- 対象の技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関で対象料理の調理または食品の製造に関する科目を専攻した期間を含みます。)
- 「経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)」の規定の適用を受ける者
2については、タイ料理の料理人について、次の3つの要件を適えた場合とされます。
- タイ料理の料理人として、5年以上の実務経験
- 初級以上のタイ料理の料理人の技能水準の証明書を保有していること
- 入国申請の直前1年以内に、タイでタイ料理の料理人としての妥当な報酬を受けていたか、受けていること
外国特有の建築・土木
ゴシック、ロマネスク、バロックや中国式、韓国式などの建築、土木が該当するとされます。
枠組壁工法、いわゆるツー・バイ・フォー工法や輸入石材の直接貼付方法も含まれます
具体的な職務内容に指導や技術移転を含むこと、資材の輸入相手国の国籍か永住権をもつこと、建設計画が明確なことなどが求められることがあります(とくにツー・バイ・フォー工法)。
許可基準
- 10年以上の実務経験(外国の教育機関で対象の建築または土木に関する科目を専攻した期間も含みます。)
- 同じ技能を必要とする業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けていた場合は、5年以上の実務経験
外国に特有な製品の製造または修理
ヨーロッパの特殊ガラス製品、ペルシャ絨毯などが対象とされます。
許可条件
- 10年以上の実務経験(外国の教育機関で対象の製品の製造または修理に関する科目を専攻した期間を含みます。)
宝石、貴金属または毛皮の加工
宝石と毛皮については、製品製作過程だけでなく、原石・動物から宝石や毛皮を作る過程を含みます。
許可条件
- 10年以上の実務経験(外国の教育機関で対象の加工に関する科目を専攻した期間を含みます。)
動物の調教
許可条件
- 10年以上の実務経験(外国の教育機関で動物の調教に関する科目を専攻した期間を含みます。)
石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削、または海底鉱物探査のための海底地質調査
許可条件
- 10年以上の実務経験(外国の教育機関で石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削、または海底鉱物探査のための海底地質調査に関する科目を専攻した期間を含みます。)
パイロット
航空法の規定する「航空運送事業」(有償で旅客または貨物を運送する事業)のための飛行機の操縦者が対象です。
操縦者は、「定期運送用操縦士」「事業用操縦士」「準定期運送用操縦士」の技能証明が必要とされます。
許可条件
- 250時間以上の飛行経歴
スポーツの指導
ここに言う「スポーツ」には、競技スポーツよ生涯スポーツの両者を含むとされます。
気功については、肉体鍛錬の気功運動は対象となりますが、気功治療は対象となりません。
許可条件
次の何れかとされます。
- 三年以上の実務経験(外国の教育機関で対象のスポーツ指導に関する科目を専攻した期間、及び報酬を受けて対象スポーツを職業としていた期間を含みます。)(対象スポーツの指導)
- 国際スキー教師連盟発行のISIAカードの交付を受けた者(スキーの指導)
- スポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者(対象スポーツの指導)
ソムリエ
技能としては、 「ぶどう酒の品質の鑑定・評価・保持とぶどう酒の提供」全てを有する必要がありますが、職務はこれらの一部でもよいとされます。
許可条件
次の何れも充たすこととされます。
- 5年以上の実務経験(外国の教育機関で「ぶどう酒の品質の鑑定・評価・保持とぶどう酒の提供」に関する科目を専攻した期間を含みます。)
- 次の何れかに該当すること
- イ.「国際ソムリエコンクール」(「ぶどう酒の品質の鑑定・評価・保持とぶどう酒の提供」に関する国際的な規模で開催される競技会)で、優秀な成績を収めたことがある者
- ロ.出場者が1国につき1名に制限された「国際ソムリエコンクール」に出場したことがある者
- ハ.「ぶどう酒の品質の鑑定・評価・保持とぶどう酒の提供」に関して外国を含む国、地方公共団体外国の地方公共団体を含む地方公共団体、またはこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で、法務大臣が告示で定めるものを有する者
申請に必要な書類は?
申請書に必要な書類として法定された書類は、上の9つの職業共通です。
- 招聘機関の登記事項証明書・損益計算書の写し
- 招聘機関の事業内容を疎明する資料
- 経歴書、対象の職業に関する経歴及び資格を証明する公的機関が発行した文書
- 仕事の内容、期間、地位、報酬を証明する文書
1と2は、雇用先の資料で雇用先が準備してくれる資料です。(登記事項証明書は当事務所でも準備できます。事業内容に関する資料もホームページがあれば当事務所で準備できることもあります。)
4は、雇用契約の写しなどでよいでしょう。
3は、9つの職業ごとに準備するものが異なります。
まず、経歴書は共通して9つ全てに必要です。
「技能」を証明するために一定年数以上の実務経験だけを要求される場合は、職務経歴を証する公的機関発行の文書が必要です。
「技能」を証明するために一定期間以上の実務経験と資格も必要とする場合は、職務経験を証する公的機関発行の文書と資格を証する公的機関発行の文書の両方が必要となります。具体的には次のものです。
「外国考案の料理・食品」についてタイとの協定に基づく場合、「スポーツの指導」についてISIAカードの交付を受けている者、ソムリエについてのコンクールなどの成績
まとめ
「技能」ビザは、特定分野に絞って、技能を必要とする実務経験を中心に判断して許可されるものです。学歴などは必要とされません。
ある意味、ニッチ・マーケットに絞った就労ビザなのですが、就労ビザの中では、その保有者は必ずしも少ないものではありません。
平成30年6月末の就労ビザ保有者は次の通りです。
- 「技能」・・・ 39,221人 (5.73%)
- 「技能実習」・・・ 285,776人 (41.77%)
- 「技術・人文知識・国際業務」・・・ 212,403人 (31.04%)
- 「経営・管理」・・・ 25,099人 ( 3.67%)
- 「教育」・・・ 11,769人 ( 3.67%)
- 就労ビザ全体・・・ 684,181人
「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」などのメインの就労ビザに比べれば、多くはありませんが、その次に多いビザなのです。
対象となる9つの職種別の内訳はありません。おそらく、「外国考案の料理・食品」や「宝石、貴金属または毛皮の加工」が比較的取得しやすいものと推測されます。
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