有資格者のビザ、「法律・会計業務」「医療」「介護」ビザについて詳しく解説します。
就労ビザ取得の許可には、多くの場合学歴や職歴が条件とされます。資格が条件となる「資格系」就労ビザは、有資格者にとっては、ビザ取得の近道となります。
資格を必要とする就労ビザとは?
就労ビザの中で、仕事をするためには、法律上必要とされる資格をもつことが条件となるものがあります。次の3つです。
「法律・会計業務」「医療」「介護」です。
ここで、「資格」というのは、日本国内において特定の仕事や業務を行う場合に、日本の法律上必要とされる「資格」のことです。
海外で資格を保有していても、その資格をもつことで、日本において対象となる仕事や業務ができる訳ではない場合は、対象とはなりません。
以下、それぞのビザについて説明してまいります。
「法律・会計業務」とは、どんなビザ?
どんな仕事ができるのか?
「法律・会計業務」ビザをもつ外国の方が行いうる仕事の内容は、入管法では、次の通りです。
「外国法事務弁護士、外国公認会計士」などの「法律上の資格」を有する者が行うこととされる「法律または会計」の仕事
具体的に如何なる「法律上の資格」が対象なのでしょうか?就労ビザの許可基準とされる「上陸許可基準」では、次の11の資格の何れかをもつことが許可の条件とされています。
弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士
ここで重要なのは、外国法事務弁護士と外国公認会計士です。この2つは、そもそも入管法の規定でも代表的な資格として例示されています。
この2つは、海外で弁護士もしくは公認会計士の資格があれば、日本国内で登録手続を行うだけで取得できるものなのです。
行いうる業務は、元々の資格を許可した国の法律や会計に関するものに限定されますが、米国など日本と関わりの深い大国の法律や会計に関する業務・仕事であれば、需要・必要性も大きいのです。
それ以外の資格は、日本の法律に基づき所定の学校を修了したり、試験に合格するなどの必要があるので、外国人の資格ホルダーはめずらしいかもしれません。
許可の条件は?
「法律・会計職」の「上陸許可基準」は上記の11の資格をもって日本で仕事すること、それだけです。
外国法事務弁護士が、日本国内の企業に雇用されてインハウス・ローヤーとして働くことも、日本の弁護士事務所のアソシエートやパートナーで働くことも、自分で外国法弁護士事務所を開くこともできるのです。
「法律・会計業務」ビザの特徴は、「法律・会計」の事業を自ら運営する場合も、「経営・管理」ビザではなく、「法律・会計業務」ビザをもっていればできることにあります。
申請に必要な書類は?
申請書に必要な書類は次の通りです。
- 上記の11の何れかの資格を有することを証明する文書
- 仕事の内容・期間・地位・報酬を証明する文書
1は、資格証などの写し、2は、雇用契約の写しなどで良いでしょう。
「医療」ビザとは、どんなビザ?
どんな仕事ができるのか?
入管法の規定は次の通りです。
「医師・歯科医師」などの「法律上の資格」を有する者が行うこととされる「医療」の仕事
「法律・会計業務」ビザと同じ様な規定です。具体的にどんな資格が対象なのか、「上陸許可基準」では、次の14の資格とされます。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士
「法律・会計業務」にはあった、「外国法事務弁護士」「外国公認会計士」の様な資格は登場しません。外国での資格者が登録を行うことで日本での資格を認められるものはここではありません。それぞれ、日本国内の法律に従って、所定の学校を修了したり、試験をパスする必要があるのです。
許可の条件は?
「上陸許可基準」では、次の通りとされています。
- 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士としての仕事を、日本人と同等額以上の報酬を受けて行うこと
- 准看護師としての仕事に就く場合、日本で準看護師の免許を受けた後4年以内の期間中に研修としてその仕事を行うこと
- 薬剤師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士として仕事に就く場合、日本国内の医療機関または薬局に招聘されること
まず、薬剤師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士の8つの資格は、事実上、日本国内の医療機関か薬局と雇用契約などを結ぶ必要があることとなります。
また、准看護師についても、免許を受けた後、何れかの医療機関での「研修」として雇用契約などを結ぶ必要があることになります。
それ以外の医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師の5つの資格は、特に雇用契約などを結ぶことが明示されていませんが、日本人と同等以上の報酬を条件とされており、やはり事実上何れかと雇用契約を結びことが必要と言えるでしょう。
このことは、病院や医療機関の運営を自ら行う場合には、「医療」ビザでなく、「経営・管理」ビザが必要とされることからも理解されることです。(入管法の「経営・管理」ビザの規定では、「法律・会計業務」に関する事業の運営・管理を除外しているのに、「医療」に関する事業の運営・管理は除外していないことからも分かります。)
以上の通り、「医療」ビザの対象資格の有資格者は、実質的には何れかの医療機関などに雇用されて、日本人と同等以上の給与を受け取ることが必要と言うことになります。
どんな書類が必要か?
「医療」ビザの申請に必要な書類は、次の通りとされています。
- 招聘機関の概要を証明する資料
- 資格を有することを証明する文書
- 仕事の内容、期間、地位、報酬を証明する文書
1は、雇用先が準備する書類です。(当事務所で作成できる場合もあります。)
2は、資格証などの写し、3は、雇用契約などの写しで良いでしょう。
「介護」ビザとはどんなビザ?
介護ビザは、平成29年に新しく設けられたビザで、上の2つビザに比べて新しいビザです。
どんな仕事ができるのか?
入管法の規定は次の通りです。
日本国内の公私の団体・企業などと雇用契約などの契約を締結して行う、「介護福祉士」の資格を有する者による、介護または介護指導の仕事
資格は、「介護福祉士」だけです。
そして、医療機関や社会福祉法人その他会社などと雇用契約などを結ぶことが前提とされています。
許可条件は?
「上陸許可基準」では、次の何れにも該当することとされます。
- 社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第1号から第3号までのいずれかに該当すること
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること
1は、介護福祉士試験の受験資格を「養成施設」ルートで取得した者をさします。(介護福祉士試験の受験資格の取得は、この他に「実務経験ルート」または「福祉系高校ルート」で可能とされますが、それらは対象となりません。)
2は、就労ビザの多くで条件とされています。
「介護」ビザでは、他の「資格系」ビザと異なり、資格をもつ前の受験資格の段階でも、許可条件がをクリアされます。
「留学」ビザをもって、介護福祉士養成機関で教育を受け、それが修了した時点で、試験に合格して介護福祉士の資格を取得することを待たずに、すぐに「介護」ビザへ変更することを可能としているのです。
どんな書類が必要か?
次の書類が申請には必要とされます。
- 招聘機関の概要を証明する資料
- 介護福祉士の資格を有することを証明する文書
- 上記の「上陸許可基準」の1.に該当することを証明する資料
- 仕事の内容、期間、地位、報酬を証明する文書
1は、雇用先が準備する書類です。(当事務所で準備できる場合もあります。)
2は、資格証の写しなどです。(介護福祉士試験前であれば不要でしょう。)
3は、介護福祉士養成機関の修了証の写しなどですが、介護福祉士の資格取得後も、「養成施設」ルートで資格取得したことを証するため必要となります。
4は、雇用契約の写しでよいでしょう。
以上、纏めると
以上の3種類の「資格系」の就労ビザは、学歴や職歴などを証明することが許可の基準ではなく、資格の保有を証明すること(「介護」ビザでは、介護福祉士試験受験資格を証明する必要があります。)で許可基準をクリアできるので、就労ビザの中でも、取得難易度が相対的低いと言えるでしょう。
しかしながら、ビザをもって日本で暮らす外国人、いわゆる在留外国人の中でこれらのビザの保有者は、けっして多くはありません。平成30年6月末でそれぞれ次の通りです。(括弧内は、就労ビザ保有者全体の中での比率です。)
- 法律・会計業務・・・ 150人(0.02%)
- 医療・・・・・・・・1,966人(0.29%)
- 介護・・・・・・・・ 177人(0.03%)
有資格者自体が日本の就業人口の中でけっして多い訳ではないこともありますが、それ以上に資格取得の壁は外国人の方には高いと言うこともできるでしょう。
とはいえ、もし対象資格をもっているのであれば、一番に取得を検討する就労ビザということは間違いないでしょう。
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