在留資格・ビザをもって日本で生活する外国人も、永住者、高度専門職第2号以外の在留資格の場合、それぞれ在留期間が決められており、期間を超えて生活するためには、原則として在留期間更新の許可を得なければなりません。在留期限を過ぎて、日本に留まることは入管法に違反することとなり、日本からの退去を強制されることが原則です。

また、在留期間の期限前であっても、在留資格を取り消されることがあり、その場合も、一定の場合、退去を強制されることがあります。

「在留資格の取消し」とは

入管法は、以下のような場合、「在留資格の取消し」ができるとしています。

  1. 偽り・不正の手段により上陸許可や在留に関する許可を受けたこと
  2. 不実の記載ある文書・図画により上陸許可を受けたこと
  3. 在留資格の定める活動を行わず、他の活動行う、または行おうとしていること (正当な理由がある場合除く)
  4. 在留資格に定める活動を3ヶ月(高度専門職第2号は6ケ月)以上行わないこと (正当な理由がある場合除く)
  5. 「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」である「配偶者」が配偶者としての活動を6ケ月以上行わないこと (正当な理由がある場合を除く)
  6. 上陸許可を受けた後、または届出住所から退去後90日以内に住所地の届出を行わないこと、或いは虚偽の住所地を届け出たこと

「在留資格の取消し」がなされる場合、意見聴取の機会が与えられ、また在留資格変更や永住許可の申請機会を与えられることとされています。

「在留資格の取消し」を受ける場合においても、偽り・不正手段による上陸許可取得、あるいは、資格外活動の実行またはその企図があり、逃亡のおそれのあるときを除き、30日を超えない期間において出国準備期間を設定することとされます。

この出国準備期間内に任意に出国すれば、入管法の違反にはなりません。一方、出国準備期間を超えて日本に留まれば、日本からの退去を強制されることとなります。

「退去強制」とは、

入管法が規定する「退去強制」の対象は、多岐に亘りますが、ここでは特に問題となりそうなものとして、以下の通り、列挙しておくこととします。

  1. 偽り・不正手段による上陸許可・在留許可を受けたこと、あるいは、資格外活動の実行またはその企図があり、逃亡のおそれのあるとして在留許可を取り消された者
  2. 上記2以外の理由で在留資格を取り消され、許可された出国準備期間経過後も、日本に残留する者
  3. 在留資格に従い認められた活動以外の収入を伴う事業活動、または報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者
  4. 在留資格に従い認められた活動以外の収入を伴う事業活動、または報酬を受ける活動を行ったとして、入管法の規定する罪により、禁固以上の刑に処せられた者
  5. 在留期間の更新・変更を受けずに在留期間を経過して日本に在留する者無期または一年超の懲役もしくは禁固の刑に処せられた者、但し、執行猶予を受けた者は除く(住居侵入・不退去罪、通貨・文書・有価証券・印象などの偽造等に関する罪、賭博に関する罪、殺人に関する罪、傷害に関する罪、逮捕・監禁に関する罪、拐取などに関する罪、窃盗・強盗に関する罪、詐欺・恐喝に関する罪、盗品等に関する罪、危険運転に関する罪その他については、懲役・禁固の刑に処せられた者とされ、期間の制限はなく、執行猶予の場合も含みます。)
  6. 入管法の規定する住居地・在留カード記載事項・所属機関に関する虚偽の届出の罪、在留カード更新・再交付を怠る罪、在留カード不受領・提示拒否の罪により懲役の刑に処せられた者

これ以外は、不法入国者、許可不正取得の教唆・幇助者、在留カードに関する不正行為者、テロ行為の疑いがあるとして認定された者、不正就労活動関与者など、人身取引行為の実行者、入管法に規定する集団密航者に関する罪などが対象とされます。

「退去強制」の手続

退去強制の手続は、一般の刑事手続と似たところがありますが、刑事手続の様に、司法警察・検察が関与することはなく、通常は所管の行政官庁である出入国在留管理庁・地方出入国在留管理局と裁判所で行われます。

具体的には以下の流れで手続がなされます。

1.違反調査

入国警備官は、退去強制の要件の何れかに該当すると思料する外国人について、違反調査を行うことができます。対象の外国人を「容疑者」といいます。

出頭要求・取調べなどの任意処分だけでなく、裁判所の許可を得て、臨検・捜索・押収などの強制処分も可能とされます。

2.収容

入国警備官が、退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があると判断した場合、所管の地方出入国在留管理局の主任審査官の発付する収容令書により、容疑者を収容できます。

収容令書は、一般の刑事捜査の逮捕令状が裁判官による発付を要求されるのと異なり、所管の地方出入国在留管理局の中で完結されます。

3.審査

入国審査官は容疑者の引渡しを受けた場合、速やかに審査を行います。審査の結果、

  • 退去強制の要件の何れにも該当しないと認定した場合、容疑者は直ちに放免されます。
  • 容疑者が「出国命令対象者」に該当すると認定した場合、速やかに主任審査官にそれを通知します。出国命令が出されれば、容疑者を直ちに放免します。
  • 容疑者が「退去強制対象者」に該当すると判断した場合、主任審査官と容疑者本人に理由を付した書面で通知します。もし、容疑者が認定に服する場合、主任審査官は、容疑者に口頭審理の請求を行わない旨の文書に署名させた上で、「退去強制令書」を発付しなければならない。

「出国命令」とは、退去強制の要件の何れかに該当する者の内、更に特定の条件にあてはまる者=「出国命令対象者」について特別に「退去強制」によらない出国を認める制度です。「出国命令」「出国命令対象者」については、後述します。

「退去強制対象者」とは、退去強制の要件に該当し、かつ「出国命令対象者」には該当しない者です。

4.口頭審理

「退去強制対象者」に該当すると通知された容疑者本人に異議がある場合、通知の3日以内に口頭で請求すれば、特別審理官による口頭審理が行われます。

  • 特別審査官が入国審査官の審査の認定が事実に相違し、退去強制の要件の何れにも該当しないと判断した場合、容疑者は直ちに放免されます。
  • 特別審査官が入国審査官の審査の認定が事実に相違し、「出国命令対象者」に該当すると判断した場合、主任審査官にそれを通知します。出国命令が出されれば、容疑者は直ちに放免されます。
  • 特別審理官が入国審査官の審査の認定が誤りないと判断した場合、主任審査官と容疑者本人に通知します。もし、容疑者が審査の認定に誤りないとの判定に服する場合には、次に述べる異議を申し出ない文書に署名させた上で、「退去強制令書」を発付することとなります。
5.異議の申出

容疑者は、特別審査官から、入国審査官の認定が誤りないとの判断の通知を受けた日から3日以内に、法務大臣に異議を申し出ることが出来ます。

異議は、所定の「異議申出書」に不服の理由を示す資料を添付して、主任審査官に提出することにより行います。

主任審査官は、法務大臣に調書その他の関係書類を合わせて提出します。

法務大臣は、異議の申出が理由があるか否かを裁決し、主任審査官に通知します。

  • 異議に理由があり、退去強制の要件の何れにも該当しないとの通知を受ければ、容疑者は直ちに放免されます。
  • 異議に理由があり、容疑者が「出国命令対象者」に該当するとの通知を受ければ、出国命令が出され次第、容疑者は直ちに放免されます。
  • 異議に理由がないとの通知を受ければ、容疑者に通知し、「退去強制令書」を発付します。
6.退去強制令書

退去強制は「退去強制令書」を発付することにより行われます。

入国審査官が、退去強制対象者であると認定し、口頭審理・異議の申出後の裁決によっても、その判断が覆されることがなければ、主任審査官により、法務省令の定める書式に従った「退去強制令書」が発付されます。

退去強制令書は、入国警備官が執行し、退去強制令書の名宛人たる外国人を、原則としてその国籍国を送還先とし、送還します。

退去強制の効果・影響

退去強制は、強制処分を伴う手続を含む行政処分ですが、いわゆる刑事処分とはされないので、そのことをもって、刑事罰に関する経歴、いわゆる前科にあたるものではありません。

しかしながら、入管法は退去強制を受けた事実について、次の通り、上陸拒否の要件としており、長期間日本への入国が困難となります。

  1. 退去強制処分を受けた者で、その退去日前に退去強制を受けたり、出国命令による出国をしたことのない場合・・・退去日から5年間経過しなければ上陸拒否の要件に該当
  2. 退去強制処分を受けた者で、1.に該当しない場合・・・退去日から10年経過しなければ上陸拒否の要件に該当

出国命令とは?

退去強制の要件の何れかに該当する者について、特定の条件に当てはまる場合に、退去強制によらない出国を認める制度です。

「出国命令」の要件は
出国命令の要件は次の全てに該当することで。その場合、その対象者を「出国命令対象者」といいます。
  1. 在留資格を取り消され、指定された出国準備期間経過後も残留する者、在留期間の更新・変更を受けないで、在留期間経過後も残留する者、その他日本滞在のため許可された期間を経過後も残留する者、の何れかに該当すること
  2. 速やかに出国する意思をもって、自ら地方出入国在留管理局等に出頭したこと
  3. 退去強制の要件のうち、上陸許可等の不正取得に関する行為、不正就労活動に関する行為、在留カード等に関する不正行為、人身取引、政府転覆等特定の違法行為、出国命令期限を経過して在留すること、出国命令を取り消されたこと、の何れにも該当せず、または行っていないこと
  4. 住居侵入・不退去罪、通貨・文書・有価証券・印象などの偽造等に関する罪、賭博に関する罪、殺人に関する罪、傷害に関する罪、逮捕・監禁に関する罪、拐取などに関する罪、窃盗・強盗に関する罪、詐欺・恐喝に関する罪、盗品等に関する罪、危険運転に関する罪その他については、懲役・禁固の刑に処せられたことがないこと
  5. 過去に退去強制処分を受けたり、出国命令により出国したことのないこと
  6. 速やかに日本から出国することが確実と見込まれること
「出国命令」の手続

出国命令は、次の4つの事由に基づき主任審査官が通知を受けることを契機として開始されます

  1. 入国警備官は、違反調査において、容疑者が出国命令対象者に該当すると認める相当の理由がある場合は、収容の手続きを経ずに、その容疑者を入国審査官に引き継ぐこととされます。入国審査官が審査において、対象容疑者が出国命令対象者であると認定すれば、主任審査官にそのことを通知します。(そうではなく、退去強制対象者と疑われる場合には、入国警備官に差し戻します。)
  2. 通常の退去強制に関する収容・引渡し後の「審査」において、入国審査官が、対象容疑者が出国命令該当者であると認定したときは、主任審査官にそのことを通知します。
  3. 「口頭審理」において、特別審理官が、対象容疑者が退去強制対象者でなく出国命令対象者であることを理由に審理が事実に反すると判定したときは、主任審査官にそのことを通知します。
  4. 「異議の申出」後、法務大臣が出国命令対象者に該当することを理由に異議に理由があると裁決した場合、そのことを主任審査官に通知します。

上記の通知を受けた主任審査官は、直ちに出国命令を出す必要があります。

出国命令は、15日以内の出国期限を定めた上で、出国命令対象者に対して、法務省令の定める様式に従った「出国命令書」を交付することにより、行われます。

「出国命令」の効果・意義

出国命令を受けて出国した場合、退去強制により出国となった場合に比して以下のメリットがあるとされます。

  1. 退去強制により出国した場合、出国後5年または10年経過しなければ、上陸拒否の要件に該当し、再び日本に入国することがその間困難となりますが、出国命令により出国した場合、1年経過すれば、上陸拒否の要件には該当せず、他の上陸拒否要件がない限り、日本再入国がより早期に容易となります。
  2. 収容を受けずに、または早期に収容から放免された上で、帰国することができます。

「法務大臣の裁決の特例」=法務大臣の「在留特別許可」

「退去強制」の要件に該当し、関係当局の調査や審査手続を経て、退去強制に該当すると判断された場合においても、在留が許可されることがありえます。

入管法が定める「法務大臣の裁決の特例」というものです。具体的には以下の通りです。

在留特別許可とは?

「異議の申出」を受理した法務大臣が、その裁決に当たって、異議の申出に理由がないと認める場合においても、対象の容疑者が次の何れかに該当するとき、法務大臣は、その者の在留を特別に許可できるとされます。

  1. 永住許可を受けていること
  2. かつて日本国民として日本に本籍があったこと
  3. 人身取引等により、他人の支配下に置かれて在留していること
  4. その他、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があるとき

この許可を、法務大臣による「在留特別許可」と言っています。

在留特別許可に関する手続

「在留特別許可」を求めるための申請手続は、法定されている訳ではありません。入管法は、「在留特別許可」を「異議の申出」を受けて裁決に当たって、行いうるとしています。従って、「在留特別許可」を求める容疑者である外国人は、「異議の申出」を行うに当たって、その意思を表示する必要があります。

入管法の定める「異議の申出」の手続は次の通りです。

法務省令の定める様式に従った「異議申出書」1通及び次の何れかに該当する「不服理由を示す資料」1通を提出するとされます。

  1. 審査手続の法令違反を理由とする場合、法令違反を示す審査・口頭審理・証拠に現れる事実を表す資料
  2. 法令の適用の誤りを理由とする場合、法令の適用の誤りを表す資料
  3. 事実誤認を理由とする場合、事実誤認を示す審査・口頭審理・証拠に現れる事実を表す資料
  4. 退去強制が著しく不当であることを理由とする場合、退去強制の著しい不当性を示す審査・口頭審理・証拠に現れる事実を表す資料

在留特別許可は、異議に理由がないと認める場合に出されるものなので、在留特別許可を求める主張や根拠事実は、「異議の申出」の趣旨や口頭審理に対する「不服理由」に含まれる訳ではないと言えます。異議に関する理由が認められなかった場合の予備的主張と言えるものです。

一方で、「異議の申出」の法定提出書類が、「異議申出書」「不服理由を示す資料」の2通りとされている以上、「在留特別許可」を求める主張と根拠事実については、後者の「不服理由を示す資料」の一部として、提出する必要があります。

在留特別許可の要件と判断基準

「異議の申出」にため提出すべき、「不服理由を示す資料」の一部を構成するものとして提出すべき資料とはどの様なものなのでしょうか?

これを検討するためには、在留特別許可の要件と判断基準を理解する必要があります。

在留特別許可の法定の要件は、次の4つです。

  1. 永住許可を受けていること
  2. 過去に日本国民として日本に本籍があったこと
  3. 人身取引などにより、他人の支配下に置かれて日本に在留していること
  4. その他、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情

その場合、4つ目の「特別に在留を許可すべき事情」とは、如何なる事情を指すかが問題となります。

ここで考慮すべきは、在留特別許可の可否が如何なる基準で判断されているかです。この点に関して、出入国在留管理庁の前身とも言える法務省入国管理局が、「在留特別許可のガイドライン」を公表しています。概略すると次の通りです。

≪特に考慮される積極要素≫

  1. 日本人または特別永住者の子
  2. 日本人または特別永住者との間の未成年・未婚の実子を、親権をもって、長期間同居して扶養していること
  3. 日本人または特別永住者と偽装ではなく婚姻し、長期間同居・相互扶養の関係にあり、子があるなど生活も安定していること
  4. 日本の初等・中等教育機関に長期間在学する実子と同居し、監護・養育すること
  5. 難病等により日本での治療を必要とするか、同様の家族の看護を必要とすること

≪その他積極要素≫

  1. 不法滞在申告のため、自ら入管当局に出頭
  2. 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格をもつ在留外国人である未成年・未婚の実子を、親権をもって、長期間同居して扶養していること
  3. 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格をもつ在留外国人と偽装ではなく婚姻し、長期間同居・相互扶養の関係にあり、子があるなど生活も安定していること
  4. 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格をもつ在留外国人の扶養を受ける未成年・未婚の実子
  5. 日本での滞在期間が長期に亘り、日本への定着性が認められること
  6. その他人道上配慮を要する特別な事情

≪特に考慮する消極要素≫

  1. 重大犯罪により刑に処せられたことがあること
  2. 不法就労助長、集団密航、旅券等不正の罪、人身取引・売春行為など出入国在留管理行政の根幹に関わる、または反社会性の高い違反をしていること

≪その他消極要素≫

  1. 密航、偽装旅券などによる不正入国を行ったこと
  2. 過去に退去強制を受けたこと
  3. 刑罰法令違反またはそれに準ずる素行不良があったこと
  4. その他在留状況に問題があること

以上のことから、永住者であること、日本国籍をかって保有していたこと、人身取引の被害者であること、さらにはガイドラインの「特に考慮される積極要素」「その他積極要素」に当たる事実があれば、それらは主張していくことが重要です。

また、出入国在留管理庁は、そのサイトにおいて、在留特別許可について、「許可された事例」と「許可されなかった事例」を公表しています。これらも参照することが肝要とも言えます。

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