「帰化」と「認知された子の国籍取得」の違いは?どんな手続が必要か?

「帰化」とは?
ビザを持って住む外国の方が、日本での永続的生活と日本社会との関係性を更に強くすることを望む場合、日本の国籍を取得という選択肢があります。
他の国の国籍を取得することを一般には「帰化」といいます。
「帰化」の手続は国籍法という法律で規定されています。
国籍法4条は、 「日本国民でない者(『外国人』)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。」と規定し、更に帰化をするには法務大臣の許可を要すると定めています。
法務大臣の許可が必要とする点はビザと同じです。但し、根拠法は違います。ビザは、入管法「出入国管理及び難民認定法」に定められています。
窓口も異なります。ビザの申請の窓口は、法務省の外局である出入国在留管理庁の下にある各地方の出入国管理局です。
帰化の申請は、法務省の法務局もしくは地方法務局とされています。

(認知された子の)「国籍取得」とは?
国籍法は、帰化以外にも外国人による国籍取得ができる要件を定めています。
国籍法3条は、「父または母が認知した20歳未満の外国人は、その父または母が、出生時に日本国民であつた場合、その父または母が日本国民であるときに認知した場合、あるいはその死亡の時に日本国民であつたときは、日本の国籍を取得することができる」と規定しています。
この場合の「国籍取得」は 法務大臣への申請でなく、届出でよいとされます。
届出による日本国籍の取得については、国籍法17条は、海外で生まれた日本国民が国籍留保届の不提出により国籍を喪失した場合の日本国籍の再取得について規定します。
こちらは厳密には外国人による国籍取得とは言えないので、ここではこれ以上言及しません。
以上から、外国人が日本国籍を取得するには、「申請による帰化の手続」と「届出による認知された子の国籍取得の手続」の2つがあると言うことになります。

「申請による帰化」が許可されるためには?
帰化に申請手続とは、具体的にどんな手続なのでしょうか?
その前に、帰化が許可されるための条件を見てみます。国籍法5条は次の様に定めています。
- 継続して5年以上日本に住所をもつこと。
- 20歳以上で、国籍をもつ法により行為能力をもつとされること
- 素行善良であること。
- 自己または生計を一にする配偶者その他親族の資産・技能により生計を営むことができること
- 国籍をもたないこと、または日本の国籍の取得により、その国籍を喪失すること
- 日本国憲法の施行日以後、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたり、そのことを主張したり、またはこれを企てたり、主張する政党その他の団体を結成・加入したことがないこと
重要なことは、これらの条件は、「これらの条件を満たさなければ、許可できない」、いわば最低限の充足条件として規定されていることです。
つまり、帰化が許可されるには、法定の条件をクリアするだけでなく、帰化を許可すべき積極的な要因を提示する必要があるのです。
具体的には、どんな条件が必要なのでしょうか?そのヒントは、国籍法が規定する帰化申請許可に関する緩和条件にあります。
国籍法は、以下の様な「緩和条件」を規定しています。
- 意思にかかわらず国籍喪失が叶わない場合、日本国民との親族関係や境遇に特別な事情を認められるときは、無国籍や国籍喪失の条件を充たさなくとも、許可できるとされます。
- 現に日本に住所をもつ者は、「継続5年以上の住所保持要件」を充たさなくても、次の3条件の何れかを満たせば許可できるとされます。:①日本国民であつた者の子(養子以外)が、継続3年以上日本に住所・居所をもつ場合、②日本で生まれ、継続3年以上日本に住所・居所をもつ、或いは父また母(養父母以外)が日本で生まれた場合、③継続10年以上日本に居所を有する場合
- 日本国民の配偶者である外国人で、継続3年以上日本に住所・居所をもち、現に日本に住所をもつ者や、日本国民の配偶者である外国人で婚姻から3年経過し、継続1年以上日本に住所をもつ者は、法務大臣は、「継続5年以上の住所保持要件」や「20歳以上かつ能力者要件」を充たさなくても許可できるとされます。
- 次の何れか該当する場合、「継続5年以上の住所保持要件」、「20歳以上かつ能力者要件」や「生計要件」を充たさなくとも、許可できるとされます。:①日本国民の子(養子以外)で日本に住所をもつ場合、②日本国民の養子が継続1年以上日本に住所をもち、縁組時国籍のあった国の法律により未成年であつた場合、③日本国籍喪失者(帰化後の喪失以外)が日本に住所をもつ場合、④日本で生まれた、出生時からの無国籍者でその時から継続3年以上日本に住所を有するもの
- 日本に特別の功労のある外国人は、許可条件に関係なく、国会の承認を得て、許可できるとされます。
継続年数や、住所か居所か、子か養子か、など結構ややこしい条件が並んでいますが、細部は拘らずに、プラス評価される要因として以下のものを上げることができるでしょう。
- 日本国民との親族関係、特に配偶者、子(実子の方が優遇されますが、養子も無価値ではありません。)
- 過去に日本国民であった者との親族関係(特に実父母)
- 継続10年以上の日本での生活(住所でなく、居所としています。)
- 日本へに特別の功労
- その他境遇
帰化を申請する場合は、原則として、最低限クリアすべき「帰化条件」を充たすことを証明し、更に積極的に評価される要因を示していくことが重要と言えます。

「帰化申請」の具体的手続は?
それでは、帰化申請の具体的手続は、どの様にして行うのでしょう?どんな書類が必要なのでしょうか?
国籍法施行規則では、申請のあたり提出すべき書類を以下の通り定めています。
- 帰化をしようとする者の氏名、現に有する国籍、出生の年月日、場所、住所、男女の別
- 父母の氏名と本籍、父または母が外国人であるときは、その氏名と国籍
- 帰化の許否に関し参考となるべき事項
1と2は、形式的な内容で特に問題なく提示されるものです。3については、具体的にどんな内容のものが必要かが問題となります。
法務省のサイトでは、申請書の記載例が掲載されていますが、申請書のフォームや必要となる提出書類については、具体的な記載はありません。
その他、「審査基準」や「標準処理期間」もないとされています。
重要なことは、申請に先立って、事前相談を行う様指示されており、具体的な提出書類などもその際指示されます。

「認知された子の国籍取得」は届出すれば実現できるのか?
「認知された子の国籍取得」は、「帰化」とは異なり、申請手続ではなく、届出手続です。
許可条件なども法定されてはいません。
では、所要とされる書類を提出すれば、直ちに国籍が取得できるのでしょうか?
具体的な手続を見ていきます。

「認知された子の国籍取得」の具体的手続は?
まず、国籍法施行規則は以下の書類を届出書に記載すべきとしています。
- 国籍の取得をしようとする者の氏名、現に有する国籍、出生の年月日と場所、住所、男女の別
- 父母の氏名と本籍、父または母が外国人である場合、その氏名と国籍
- 国籍を取得すべき事由
「国籍を取得すべき事由」とは、ここでは認知の事実です。
合わせて、国籍法施行規則は添付書類として次のものを法定しています。
- 認知した父または母の出生時からの戸籍と除籍の謄本または全部事項証明書
- 国籍取得をしようとする者の出生を証明する書面
- 認知に至つた経緯などを記載した父母の申述書
- 母が国籍の取得をしようとする者を懐胎した時期に関する父母の渡航履歴を証する書面
- その他実親子関係を認めるに足りる資料
認知の確定裁判があれば、3~5の書類は不要とされます。
届出書と添付書類1と2は、形式的な内容・書類です。問題となるのは、3~5です。
これらは、認知した父または母と認知された子の親子関係の真正性を証明するためのものです。
不正に日本国籍を取得させることを目的として、本当は親子関係にはない子を認知して届け出た場合に、日本国籍が「詐取」されてしまうことを防ぐため、親子関係を実質的に審査するものと解することができます。
従って、「認知された子の国籍取得」手続は、届出手続ではあるものの、親子関係の真正性については実質的審査がされるので、許可手続と同じ様に、充分に検討・配慮した書類を準備して提出する必要があります。

「帰化申請手続」と「認知された子の国籍取得手続」の違いは?
以上の様に、「帰化申請手続」「認知された子の国籍取得手続」は何れも充分に検討の上、準備した書類を提出する必要のあるものです。
書類の準備のあたり、それぞれどの様な点に注意する必要があるのでしょうか?
「帰化申請手続」
「帰化申請手続」は申請手続であり、許可基準なども公開されていません。申請者が日本国籍を取得するに値することを積極的にアピールする必要があります。
実質的な価値判断に耐えうる、定性的な要因を、親族関係やこれまでの日本への貢献などの具体的事実を織り交ぜて、説明することが重要です。
「認知された子の国籍取得手続」
「認知された子の国籍取得手続」は申請手続でなく、許可されるものではありません。審査されるのはあくまで真実の親子であるかどうかの事実関係です。
アピールすることはありませんが、親子関係が真実であることの「合理的確信」を法務局にもってもらうため、事実関係を中心に説明していくことが必要です。

当事務所の提供するサービス
帰化申請手続、国籍取得届出手続などの国籍手続は、ビザ申請と異なり、(取次申請)行政書士が申請者に代わって、窓口に出頭して手続を行うことはできません。
あくまで、申請書本人(15歳未満は法定代理人本人)が窓口の出頭して手続を行う必要があります。
と言っても、行政書士が必ずしもお役に立てない訳ではありません。
上述の様に、「帰化申請手続」「認知された子の国籍取得届出手続」ともに書類の準備に充分な注意が必要で、そのためには行政書士の様な法律専門家のサポートが有用だからです。
また、行政窓口への出頭についても、私たちは同行・同席し、サポートすることが出来ます。
「帰化申請手続」「認知された子の国籍取得届出手続」には、是非とも当事務所、日本橋プライム行政書士事務所にご依頼下さい。

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